東京ブランドは24年秋冬向けで、スタイリングやシルエットにメリハリを付ける素材のテクニックに重きを置いている。普段使いやすいシンプルなアイテムをいかに楽しんで着用できるか、体に心地良くフィットするニットのクリエイションが一段と多彩になった。
(須田渉美)
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「アカネウツノミヤ」(蓮井茜)は、肌触りの優しい素材にフォーカスして強さのあるスタイルを構築した。その一つは、デビュー時から培ってきたニットのプロセス。「この糸が好き」という直感を頼りに設計し、テクスチャーに変化のあるワードローブを揃えた。女性らしさとアクティブなムードを両立するのは、ベロアニットのアイテム。柔らかで光沢のある糸をミリタリー風のリブニットで表現したり、サイクルパンツの形にしたり。足元にブーツを合わせて、秋冬の着こなしに新鮮味を出す。カシミヤ・シルクのブークレ糸を使ったトラックパンツは、斜めのカットでサテンに切り替えて裾にスリットを入れる。スポーツウェアのような快適な着心地でエレガンスも感じさせる。相対する要素をバランス良くミックスさせている。
「オダカ」(小高真理)は、アナログ、デジタルの手法を駆使して日常風景を表現するデイヴィッド・ホックニーの作品に着想を得て、ニットウェアの意匠性に発展させた。ベルベットのジャカードニットで陰影のある水仙のモチーフを描き、ショルダーラインを構築的に見せたカーディガンなどモダンなフォルムへと落とし込む。シェニール糸でグラフィカルな花柄を表現したニットジャケットやミニスカートもある。懐かしさも感じさせるレトロな風合いと、グラフィックモチーフとでコントラストを強調し、レイヤードスタイルに動きを添えている。