東京ブランドの21年プレフォールと21年秋冬は、日常にフォーカスしながらの女性らしさの表現が鍵になっている。晴れの場が減ったなかで、心地良さを伴ったデイドレスの提案が増えた。80年代の要素も加え、優しさを感じさせるスタイルへとアップデートしている。
(須田渉美)
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スペシャルな日常着
プレフォールは、一段と実需に引き付けた薄手のアイテムが多く提案されている。
「アキラナカ」(ナカアキラ)は、日本固有のリズムを感じさせる和がイメージソース。「日本の美意識を反映して、日本人が着て格好良く見える普段の服」を考え、伝統色や和装のディテールをモダンな形で表現した。細い帯のようなリボンで留めたドレスは、浮世絵の色彩を応用し、色の変わり目に粒子を残したプリント柄。また、ダーツを入れずに、本来の形を受け入れることを尊重する。フレア袖のドレスは、プリーツ状にした生地をたわませることで袖にドレープラインを出した。
プレフォールコレクションを復活させた「アカネウツノミヤ」(蓮井茜)は、「日常着プラス」をテーマに、肩の力が抜けた装いを見せた。蓮井が愛着を感じている写真集の装丁の生地に着想を得て、なじんだような色味のパープルやピンクをキーカラーに採用。落ち感のきれいなマキシ丈のジャージードレスは、ウエストの中央から左右にカーブさせた切り替えのラインが、シンプルながらもレディーライクな表情を作る。