【PR】Shopify Partners ロードショーSeason2/第三回イベントレポート

2025/02/05 00:00 更新


 7月から、世界屈指のコマースプラットフォームを提供するShopifyがトークイベント「Shopify Partners ロードショー: Scale your commerce with Shopify」のSeason2を開催中です。

 「すべての人に、より良いコマース体験を」のミッションのもと、世界トップクラスのコマースサービスを提供してきたShopifyが、パートナー企業&そのマーチャントをフィーチャーし、課題解決やShopify導入のプロセスについて掘り下げていく全4回のトークセッション企画です。今回は3回目に開催したイベントをレポート形式でお届けします。

 EC担当者の方をはじめ、越境ECへの取り組みを考えている方、グローバルな市況を学びたい方にとっても、多くの学びが得られる内容となっております。ぜひご活用ください。

Season2の紹介はこちら

【Season2第3回】NO BORDER~Shopifyで実現する境界を超えたマーケティング~(2024年10月29日)

<セッション1>「Shopifyで越境ECを一気に伸ばすためのPDCA〜売上を10倍にした施策を一部公開〜」:登壇者/株式会社飛躍 代表取締役 明石 健夫

「Shopifyは柔軟性と拡張性が高く、エンジニアが非常に扱いやすいプラットフォーム」と明石さん

 セッション1ではShopifyに特化したECサイト構築から運営代行、グロースハック・アプリ開発などを幅広く手がける株式会社飛躍の代表、明石さんが登壇。越境EC市場は2030年までに現在の10倍になる可能性があるとし、「為替レートの変動や円安で、日本製品の価格競争力がある今こそ、越境ECに参入するチャンス」と強調した。また海外販売を始める際、自力で集客ができる企業はShopifyが非常に有力な選択肢となり、集客が難しい企業はまず、AmazonやeBayなどモール型ECを活用し、リスクを抑えながら海外市場での認知度を高めるのが先決という。

 明石さんはShopifyの特長を柔軟性と拡張性の高さと指摘。グローバル展開では、地域別のコンテンツ変更が簡単に行える点や多言語対応が強みとなる。さらにCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)で海外からのアクセスが速く、買い手のストレスも少ない。越境ECの成功は現地法人やローカルマーケティングへの注力が必須だ。また非言語系コンテンツ、つまり動画で「製造工程を見せるなどのイメージング戦略もやるべき」という。

 Shopifyの活用で短い期間で売上を10倍にした事例では、最も効果的なのが「地道なUI・UXの改善」とした。UIひとつ、改善してもコンバージョン率は0.01%ほどしか変わらず、すぐに成果は出ないとしても「100回改善すれば1%上がる」と明石さん。塵も積もれば山で、データに基づく地道なUI改善が大事だという。Googleのリスティング広告を使った事例もあり、「クライアントごとに、どの施策が最適かは変わる。施策以前に重要なのは、売上が上がらない状態でも常に自社や他社のデータを見て、小さな変化を見逃さない」こととした。

<セッション2>「Global-eを活用した越境ECの展開方法と成長戦略」:登壇者/Global-e Japan株式会社 VP Sales 神吉 真由

Global-eは2013年にイスラエルで設立。「今や世界各国の1000社以上に利用されている」と神吉さん

 セッション2では、マーチャントの越境ECを数多く支援するGlobal-e Japan株式会社の神吉真由さんが「Global-e」を活用した越境ECのポイントを解説した。

 同サービスは「越境ECを国内販売と同じくらいシンプルにする」をコンセプトに、関税や送料、決済方法などさまざまな越境ECの課題を解決するプラットフォームだ。特にアパレル業界やアニメやゲームなどのキャラクターグッズ(IP商品)に関わる企業からの需要が高く、日本企業ではオニツカタイガーやホロライブのキャラクターグッズの越境ECに活用されている。「1000以上の企業様にご利用いただく中で、どの国でどんな関税や税金がかかり、送料をどう設定すればいいのかといった知見が蓄積されている。現地の消費者に合わせた最適な販売体験を提供できるのが強み」と神吉さん。 

 具体的には、商品価格の表示や決済方法を現地の慣習に合わせて調整し、各国の通貨や税制、決済に対応する。クレジットカード使用率が低い国も多く、150以上の決済方法に対応し、現地で主流となっている決済方法を選ぶことで「消費者は海外サイトにアクセスしている意識もなく、ストレスフリーに買い物ができる」という。

 関税や税金の設定も国ごとに細かく調整可能で、HSコード(輸出入統計品目番号)の算出も自動化され、複雑な作業は必要ない。同サービスを導入した企業では、コンバージョン率が平均20%以上もアップした。配送もDHLと提携して、物流コストを削減。さらに海外で非常に多い「返品」の手続きを簡便にするため、返品専用のWebページも用意し、消費者が自分で返品手続きを行えるようにしている。「今、注目されているのは中東やメキシコ、アラブ首長国連邦などの購買力。日本からは現在、アメリカが最も大きな市場だが、台湾やサウジアラビアでも日本製品の需要は高まっている」と神吉さん。

 Shopify上でGlobal-eを活用すれば、世界200以上の国と地域への販売が可能になる。神吉さんは「税金や不正決済への対応など、面倒な手続きをGlobal-eに任せることで、マーチャントの皆さんは本来の業務に集中していただける」と締めくくった。

<セッション3>「ECにコンセプトは必要か?」:登壇者/ネクトラス株式会社 代表取締役 中島 郁 氏

「よく練られたコンセプトはシンプルで分かりやすい」と中島さん

 セッション3で登壇したネクトラス株式会社代表の中島さんは20年以上にわたり、EC業界で数多くのプロジェクトに関わってきた経験から「コンセプトの重要性」について解説した。

 中島氏は「ECを立ち上げたものの成功していない企業をいくつも見てきた」と述べ、その多くがWeb販売に対する本気度が足りなかったり、コンセプトが曖昧だったりが原因だと指摘した。特に「市場が伸びているから」という理由だけでECに参入した企業で、うまくいかないケースが目立つ。中島さんは「コンセプトが考え抜かれていないECサイトは一貫性を欠き、消費者に見透かされる」という。

 ECにおけるコンセプトは「単なる戦略や計画ではなく、事業の根底を支える『旗印』としての役割を持つ」と中島さん。その旗印をもとに、すべての戦略や選択を行うことで事業の一貫性を保ち、成功へと導くカギとなる。好例は、中島さんも立ち上げに携わった「ジュピターショップチャンネル」だ。日本初のショッピング専門チャンネルとして「テレビと連動したEC」というコンセプトを明確に打ち出し、現在は業界最大手だ。

 コンセプトの作り方は、まず「自社の強みや価値、バリューを徹底的に洗い出し、その上で対象とする顧客にどのように届けるか、を考えることが重要」と中島さん。コンセプトがなければ、スモールな成長はできても、長期的な成功は難しい。逆にいえば、そこさえしっかりしていれば、戦略やツールを選ぶ際にも迷わずにすむ。コンセプトこそが事業の方向性を定め、競争力を強化するカギだという。

<パネルディスカッション1>「Shopifyで実現するモール型ECの立ち上げと運用」:登壇者/株式会社一休 「一休.comお取り寄せ」事業責任者 尾崎 亮太 氏/株式会社飛躍 代表取締役 明石 健夫

「掲載店の皆様のブランド力が一休への信頼につながっている」と語る尾崎さん(右)

 パネルディスカッション1では、株式会社一休の「一休.comお取り寄せ」で事業責任者を務める尾崎さんが登壇し、立ち上げから運用までの過程を語った。

 同サイトは、コロナ禍における高級レストランの新たな収益源として始まった。予約の取れない有名店のお取り寄せ商品の販売が中心で、コロナ禍の収束後もニーズがあり、サービスを継続している。Shopifyを選択した1番の理由は、「自社開発ではエンジニアリソースが不足し、開発に時間がかかるから」。既存プラットフォームの活用で、スピーディーな立ち上げが可能になったという。

 サイト運営では、CRMと商品開発に注力する。良い商品を揃える、根本的な価値を維持し、メルマガ配信などを通じて顧客との接点を増やす。現時点で過度な割引戦略は取らず、「安いから買うのではなく、高くても美味しいものを買いたいという顧客にフォーカスしていきたい」と尾崎さん。顧客ニーズに合った商品を厳選する戦略が、結果としてブランド力や信頼に結び付いている。

 メルマガも、顧客の反応を見ながら精査するのが一休流だ。「当社では “お客様に大量のメールを送ることは悪”とされ、KPIを意識しつつ、メルマガは絞って細かく改善している」と尾崎さん。顧客満足、ユーザーファーストの方針を貫けば結果的に「一休.comは高級」という価値につながる。「売上を追い求めるだけでなく、顧客の信頼を得ることが最も重要。そのための商品選定やマーケティングは慎重」と尾崎さん。

 今後もグループ内のエコシステムを活用し、会員向けマーケティングを進める。レストランやホテルの顧客を「一休.comお取り寄せ」に引き込む方法を模索中だ。

<パネルディスカッション2>「ECのリアルな苦労話。私はこうやって課題を解決した。」:登壇者/株式会社中村藤吉本店 第二営業部BtoC課PM 宮﨑 武史 氏/株式会社中村藤吉本店 第二営業部通販課課長 久保田 江梨子 氏/BONAVENTURA株式会社 代表取締役 稲富 佳織 氏/株式会社飛躍 代表取締役 明石 健夫

久保田さん「英語のアプリは難しいが、日本語アプリも併用して楽しみながら運用している」(右)

 パネルディスカッション2では、京都宇治の茶商で、日本茶やスイーツの販売を手がける株式会社中村藤吉本店より、宮崎さんと久保田さんが登壇。ミラノ発のラグジュアリーレザーブランド「BONAVENTURA」の稲富さんと、EC運営の苦労を共有した。

 BONAVENTURAの稲富さんは、従業員がまだ6名程度だった2018年に1人で自社ECをスタート。Shopifyに移行した理由は、前のカートが「新製品のローンチや人気商品の再入荷をするたびに落ちて」クレーム対応に追われたからだ。

 移行後は売上が10倍以上、従業員も100名へとスケールアップしたが、サイトが落ちることはなくなったという。とはいえ2度の大型アップデートでは「工数や予算の問題、助けてくださるベンダー探しで大変な思いをした」と稲富さん。

 中村藤吉本店の宮崎さんも、既存のシステムからShopifyへと移行した際の苦労を語った。ギフト(のし)対応や、複数の宛先への発送機能が不十分で、サイト変更後に顧客からのクレームが相次いだ。「チーム全員で対応し、1件1件電話でフォローして解決した」と宮崎さん。他にもShopifyの物流機能やWMS(倉庫管理システム)の導入など、難解な点があったと振り返った。

 効果的なベンダー選びのコツとして、稲富さんは「多少単価が上がろうと、契約期間を短くして相性を見るのが大事」とアドバイス。「打ち合わせでは、何ができるかではなく、何ができないかを聞くようにしている。契約後に『あれができない』『これができない』になると、お互いに不幸だ。あらかじめ、出てきそうな問題を発見しておくのがコツ」という。

 両社とも、越境ECに関してもさまざまなハードルを乗り越えてきた。言葉の壁や物流、関税、海外から特に多い返品など、とにかく試練の連続だ。「どの国ならきちんと届くのか、正直やってみないと分からない。自分で切り開いていくしかない」と宮崎さん。

 今後、稲富さんは商品登録や管理作業の手間を減らすため「販売を、複数の国で統合する方向」だという。また顧客対応のチャットサービスは、日本から最もアクセスが多い21~23時のリソース不足を補うため、海外在住の日本人を雇用し、時差を使ったサポートを模索する。

<パネルディスカッション3>「Shopify Japanの設立から現在と、今後についてShopify Japan卒業生と緩く語る会」:登壇者/Dotdigital カントリーマネージャー 上崎 理会子/株式会社DEGICA Vice President, GTM & Client Relations/Channel Development 徳満 泰彰氏/株式会社飛躍 代表取締役 明石 健夫

「Shopifyのエコシステムは他社が絶対に真似できない、強いコミュニティだと思う」と徳満さん(右)

 パネルディスカッション3では、Shopify Japanの立ち上げに関わり、現在は別の企業で活躍している上崎さんと徳満さんが、株式会社飛躍の明石さんと、EC業界の変遷などについて議論を交わした。

 上崎さんは2017年にShopifyに入社。2019年の退社後は、デジタルマーケティングプラットフォーム「dotdigital」の運営会社で代表を努める。2017年の時点で「いつかShopifyが日本市場で爆発的に成長するタイミングが来る」と確信した上崎さんは、入社後すぐ、利用企業にヒアリングして運用上の課題をピックアップ。改善案をカナダの本社に持ち込んで改良を進めた。当初は「英語のツールが使いにくい」という声が多く、翻訳会社の選定や用語集の作成など、裏で多くの作業を行ったという。

 徳満さんは2018年入社で、PayPalでの経験を活かして日本市場へのShopify導入を担当。Shopifyに日本のEC市場を変革する可能性を感じていたという。決済業務に精通しており、現在はDEGICAで決済サービス「KOMOJU」の運営に携わる。

 そんな徳満さんがshopify時代に課せられた目標は「3ヶ月でパートナー100社を集める」こと。しかし当時のECサイト制作会社は、低コストでサイト構築を可能にしてしまうShopifyの登場を脅威と感じ、パートナー探しは難航したという。とはいえメリットが認知され、マーケティングオートメーションなどのツールが事業者の利益につながることが周知されてくると、状況が変わり始める。特にコロナ禍でオンラインビジネスへのシフトや、日経新聞などでのメディア露出によって導入が急増する。パートナー育成プログラムやブートキャンプの運営も広がり、Shopifyのコミュニティは拡大した。

 最後にShopifyの未来について、徳満さんはマッキンゼーのレポートを引き合いに「越境やBtoB市場の拡大は確実」と発言。決済業界との連携からBtoBの需要も高まっているという。上崎さんは、「今後は顧客体験が最優先されるようになる」と予想。「チャネルではなく、最適化された買い物体験をお客様に提供すれば、結局は買ってくれる」とまとめた。Shopifyでは随時、新しいツールを導入し、顧客体験を重視した開発を進めている。より良い顧客体験を提供するためのプラットフォームとして、今後の進化に注目する。

Season2の紹介はこちら

 ※Season2のイベントレポートも随時更新します。詳しくはこちらから。

お問い合わせ先

Shopify Japan株式会社 パートナーマーケティング
担当者:佐野
Mail:roadshow-partner-mktg@shopify.com

企画・制作=繊研新聞社業務局



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