心斎橋・アメリカ村 古着やインバウンドで活気

2018/11/12 06:20 更新


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【地域流通・関西】心斎橋・アメリカ村 古着やインバウンドで活気 子連れママも楽しめる街に

 大阪・心斎橋のアメリカ村が再び活気を見せている。ファッションをはじめとした若者のカルチャー発信地という魅力はそのままに、ファミリー層やインバウンド(訪日外国人)も楽しめる街に変わった。トレンドになっている古着を扱う店が多数あるほか、観光客用のホテルができ、SNSでも話題のスイーツ店が増えるなど、来街者が増えるきっかけも広がっている。

 アメリカ村のランドマークとして知られる商業施設の「心斎橋ビッグステップ」。開業から25年になる同施設は、13年に三栄建設が取得し、グループ会社の大阪屋通商が施設を運営する。大阪屋通商はアメリカ村でアパレル事業も手掛けたこともあり、ビッグステップでもアメリカ村の活性化を狙った動きを次々と繰り出している。

 14年には周辺のビルを「心斎橋ビッグステップサウス」に改称して運営を開始。同施設には15年に「ニトリ」、18年1月には「古着屋JAM」アメリカ村店を導入した。

 本館でも積極的な改装を進めた。15年にスポーツ専門店の「スポタカ」が本店を移転。18年には同じくスポーツタカハシが手掛ける屋内スケートボード併設型店舗「スポパー」(スポタカスケートボードパーク)も開設した。

 ほかにも、往年の人気アニメなどを題材に様々なグッズを提案する「墓場の画廊ウエスト」、ライブハウス「ビッグキャット」、ピンボール専門店など、「ワン&オンリーな施設を実現するため、新しい可能性を秘めたテナントも導入している」(森昭仁支配人)により、同施設をわざわざ目指すファンを作っている。

来街者層が広がった(心斎橋ビッグステップ前)

緑化やトイレ整備

 一方で、16年からは共用部分の改装により、緑化を進めたり、物販面積を減らす形で、フロアごとにテーマの異なる個性的なトイレなども実現した。トイレはベビーカーを押す小さな子供連れでも安心して利用出来るもの。アメリカ村は来街者が利用しやすいトイレが十分あるとはいえない状況だったが、客層の拡大に貢献している。「約7年前はファミリー客層が全くいない状態だった」そうだ。

 施設として多くの独自イベントも行っている。例えば物販と映画館を連動させたテナントミックスも仕掛ける。今夏は初めて盆踊りも開催し、地元の住民やインバウンドも参加して盛り上がった。

 本館の売り上げは伸びている状況だ。インバウンドの利用も増加し、外貨両替機の稼働率も上がった。「アメリカ村はいかにも〝大阪らしい〟スポット。外国人のリピーターも増えている」と周辺の変化を振り返る。

心斎橋ビッグステップはフロアごとに異なる個性的なトイレも整備。子供連れも安心出来る

古着店の動き活発

 アメリカ村で古着の提案を強化する店も少なくない。元気店の一つ「アサギ」は、14年にアメリカ村へ移転オープンし、17年春の増床によって3層の路面店になった。「たくさんの人にいろんな古着を楽しんでほしい」という考えに沿った品揃えと店作りで、支持を広げている。

 メンズとレディスを扱うが、最近はとくにメンズの伸びが目立つ。あえて1階に高価なアンティークを集積したり、手間ひまをかけたバイイングによって実現する個性が追い風になっている。

古着を誰もが楽しめる店作りで人気の「アサギ」

 古着屋JAMアメリカ村店は、「古着文化の中心地で古着業界をけん引したい」(福嶋政憲JAMトレーディング社長)との考えで、330平方メートル以上の大型店を実現したもの。今年1月から好調な売れ行きを維持している。「アメリカ村はトレンドに左右されやすい街だが、古着は、アメリカ村が出来た当初からあるカテゴリー」と、アメリカ村での古着の安定感に期待している。

 全国展開する「ウィゴー」や「スピンズ」もアメリカ村での提案に磨きをかけている。ウィゴーは17年春、「スタンダードブックストア」心斎橋店の1階に、古着だけを品揃えした店舗をオープン。アメリカ村が発祥で、自由な店作りのスタンスを持つ両者が協力する形を見せた。

 スピンズは18年春、アメリカ村の店舗を2フロアに増床し、2階に古着とカフェを組み合わせた新業態「スピンズ・ビンテージ&カフェ」をオープンした。従来よりも上の単価の古着、そして店頭で回収した服などを新しい物に生まれ変わらせるアップサイクルも提案する。スピンズとして初のカフェを活用し、音楽やそれ以外のカルチャーと触れ合えるイベントも繰り出している。

 新たにオープンする古着店も増えた。18年夏にアメリカ村2号店を開いた「グリズリー」のように、エリア内で複数店を構える古着ショップが出て来ている。

 古着系の店以外にも動きはある。17年秋には「リーバイスストア大阪店」が旗艦店として開設。2階建てで、売り場面積約380平方メートル。「リーバイス」がジーンズだけでなく、ライフスタイルブランドとしての発信を強化している。

 さらに前を振り返ると、12年にデンマークのライフスタイル雑貨店「フライングタイガーコペンハーゲン」が日本1号店をアメリカ村に出店し、行列が出来るほどの人気だった。「その頃からアメリカ村にファミリー層が訪れ始めた」と振り返る人もいる。今では治安も改善し、修学旅行生がアメリカ村を楽しむ姿も見られるようになった。

館内で積極的にイベントを仕掛ける心斎橋ビッグステップ

ファッション以外も

 アメリカ村はファッション以外でも話題になっている。例えば食べ歩きが楽しめるのも特徴で、定番のたこ焼きに加え、最近はロングソフトクリームなど、SNSでも映える女性にも人気のスイーツ店が増えた。三角公園でテイクアウトしたものを味わう観光客や若者の姿が目立つ。

 また、楽器店やライブホールなど音楽関連の店もアメリカ村やその周辺に集中しており、街の魅力を形成している。「駐車場だったところがホテルに変わっていっている」というようにホテルの数もまだ増えている状況。今後もアメリカ村はまだ変わっていく。

◇◇◇

《インタビュー》

アサギ代表 青野直美さん

 古着屋で下積みをし、独立してからまず、大阪・新町にあるビルの2階に小さな古着店「アサギ」をオープンしました。14年にアメリカ村に移り、17年春に1階を加える増床をして、3フロアで店舗面積267平方メートルの路面店に成長することが出来ました。

 古着は欧米どちらからも買い付けるし、1800年後半のアンティークからハイブランドが打ち出した最近のものまで、ジャンルを絞らずに品揃えしています。古着を、誰もが楽しめるものとして提案したいからです。まとめ買いという仕入れ方法は避け、倉庫などをわざわざ回って、自分のフィルターを通して納得出来るものを厳選しています。こうした積み重ねで、〝ここにしかない〟独自性のある提案も磨いて来ました。

 商品のレイアウトではディスプレーで遊んだり、全て見逃さずに見てもらえるように店頭商品を絞るほか、色で分かりやすくまとめるなど様々な工夫をしています。

 この1年間はとくに好調で、メンズの伸びが顕著です。メンズの方が客単価は高く売り上げ比率の4割を占めるようになりました。口コミやSNSで遠方からも来店するお客がいますし、アンティークを提案する1階が加わってから外国人の入店も増えました。

 16年から大手セレクトショップの店頭で期間限定店を実施するなど、知名度も上がりました。将来は東京に出店したい野望もあります。そのために数年間物件を探していますが、ちょうどこのビルの1階を使える話があったので、増床を先行しました。

(繊研新聞本紙9月12日付)


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