島精機製作所・島三博社長×「CFCL」デザイナー・高橋悠介氏㊤ 「意識を育む」社会課題に自ら向き合う

2021/02/13 06:30 更新


《私が作るファッションの明日》島精機製作所・島三博社長×「CFCL」デザイナー・高橋悠介氏㊤ 「意識を育む」社会課題に自ら向き合う

 余剰在庫に焼却処分、セールの前倒しなど、ファッションビジネスが抱える課題は多い。一つひとつ解決して持続可能な産業を築くには、問題意識の共有や醸成が欠かせない。島精機製作所の島三博社長と「CFCL」デザイナーの高橋悠介氏の対談から、未来へのヒントを探る。

(青木規子)

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脳みそを鍛える

  島精機では20年、社内で新規事業発掘プロジェクトを始めました。エントリーした五十数件から選ばれたのは三つ。農家支援、古紙から糸を作るプロジェクト、学童保育など、うちとは直接関係ない事業です。

 成功しても失敗してもどっちでもいい。社会課題を解決するために知恵を出し、仮説に基づいて実証実験をやるというプロセスを経ることで、自分で考えるようになることが大切です。失敗したとしても、なぜ失敗したのかを考える。それを本業に生かす。脳みそを鍛えようという試みです。

 高橋 ファッションの学校は、教育といえば自己表現の方法が中心です。社会で新しい価値を作るための教育をしないと、なかなか問題意識は生まれない。作る側もちゃんと考えないといけません。

踏み出す勇気

  社会課題は多い。大量生産を前提にした事業モデルも在庫焼却も、悪いとはわかっていても大きな会社ほど変えにくい。組織を動かすために覚悟を決めて一歩を踏み出すのは、勇気がいると思います。

 高橋 島精機のソリューションには、要望を聞いてからデジタル上で色を変えて必要な分だけ作るデザインシステムがあります。確かに無駄のない物作りの仕組みですが、ファッションって結構、水物で。たまたまラックにかかっていたのが可愛かったから買うっていうドキドキが大きな割合を占めている。だから、それだけで作るとつまんないものになってしまうし、在庫が減って解決ってことにはならない。メーカーはそこからどう考えるかを問われているんじゃないかなと思います。

 無駄を減らすという意味では、早くハンコや収入印紙を廃止してほしい。新しいオフィスにはコピー機やスキャナーを置かないつもりでしたが、まだ紙のやり取りが多くて、結局買いました。データで送ってよというのが本音です。

  それは高齢化社会の問題で、一番根深い。世代間の価値観のギャップは、30年前と比べたら格段に広がっています。古い価値観は止まったままですが、若い価値観はどんどん入ってくる。でも共存しなければいけないからブレーキになる。課題解決のために例えば、定年を50歳ぐらいにして、その人たちがペいペいとして新しい世界を作れば、80歳になっても柔らかい脳でいられるかもしれない。そんなことをずっと考えています。

 高橋 ただ、若い人を上の世代の人が止めてあげないとダメな場面もある。世代ごとの役割が必要なこともあると感じています。

島社長(右)と高橋さん。島精機本社に昨年植えたオリーブの木の前で

(繊研新聞本紙21年1月7日付)



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