シキボウ 新内外綿を完全子会社化 技術開発、製販連携さらに強化

2021/04/28 18:17 更新


 シキボウと同社の連結子会社である新内外綿は4月28日、オンラインで会見を開き、同日に発表した新内外綿の完全子会社化について説明した。

【関連記事】シキボウ 新社長に尻家正博氏

 シキボウによる新内外綿の完全子会社化については同日、両社間で株式交換契約を締結。新内外綿が6月22日に予定している定時株主総会での承認を経た上で、株式交換の効力発生日を7月26日に予定している。これに先立ち、7月20日に新内外綿は東京証券取引所の市場二部での上場が廃止される予定だ。

 シキボウと新内外綿はいずれも国内市場を主力とするが、「国内のアパレル業界を取り巻く環境は厳しい」との認識だ。コロナ禍はさらに追い打ちをかけ、シキボウでは20年度(21年3月期)を最終とする中期経営を昨年に凍結。代わりに21年度までの緊急経営計画を策定し、合理化と新しいビジネスモデルの創出に努めている。新内外綿は主力の杢糸の販売不振が続いたところにコロナ禍でさらに苦戦を強いられ、計画から大幅に乖離(かいり)した。

 両社は「それぞれの狭い領域での事業運営は不合理」と強調。完全子会社化により、技術開発や生産、販売における情報共有、国内と中国や東南アジアに保有する生産・販売拠点の相互活用、原材料調達のスケールメリットを生かすなど両社が保有するリソースを効率的に活用し、シキボウが掲げる「全体最適を図る戦略がとれる」という。その判断のもとで3月、シキボウが新内外綿に対して「完全子会社化に向けた初歩的な申し入れをした」という。

 「これまではガバナンス(企業統治)や少数株主への配慮といった観点で踏み込みにくかった」と清原幹夫シキボウ社長。完全子会社化した後は、両社の紡績、テキスタイル、製品の各部門間連携を深めるほか、海外市場の開拓でも協力を強めていく考えだ。

 具体的には、シキボウが得意とするユニフォーム分野でファッション性や織物からニットへの要求が高まっていることに対し、新内外綿が得意とするカジュアル分野向けのニット糸を提案する。一方、カジュアル分野ではコロナ禍で衛生機能が注目されるなど機能加工の需要が増加。シキボウの衛生機能加工技術は新内外綿にとって有効と考えており、「機能商品をどんどん増やしていきたい」(長門秀高新内外綿社長)という。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事