田中千代ファッションカレッジ(東京)は4月1日、美術分野の「文化専門課程」の新設を機に、校名を「渋谷ファッション&アート専門学校」に変更する。従来の服飾専門課程に新課程を加え、2課程体制に改編。クリエイティブな街、渋谷でファッションとアートを学べる専門学校として、より多くの学生の受け入れを目指す。
同校の創設は1932年。現在の神戸市で田中千代を中心とした洋裁グループとして発足し、戦後の51年に田中千代学園を設立。渋谷に拠点を移して60年近くたち、創設者の没後20年目を迎える今年、新課程設立を機に校名を変え、地域に根差した学校として再スタートを決めた。
新設した文化専門課程は、今月で閉校となる東京・吉祥寺の武蔵野美術学園の教育課程と人材を引き継ぐ形で発足する。武蔵野美術学園は49年前、生涯学習を目的に武蔵野美術大学が設立。美術領域の基本5コースを揃え、基礎から学べる1年制で週4日通学の専門学校。渋谷でも大人も美術を学べる学校として1年制、週4日通学を踏襲。絵画、日本画、彫刻、版画、イラストレーションの5コースを設けて各コース、教育の難度の異なる美術表現、造形表現、表現研究の3学科編成とした。
現在、渋谷の校舎に防音、防じん設備を整えた彫刻教室、大型プレス機を備えた版画教室を新設中。初年度は美術分野で、既存のファッション分野を上回る数の新入生が入学予定だ。子育て後や定年後に学ぶ人など、20~70代と学生の年齢の幅は広い。一方のファッション分野の学生数も減少基調から、久々に増加に転じる予定。
今後は、新たな校名と二つの課程が学べる教育内容の認知度を高め、美術分野の若い世代など全学的に入学者の増加を目指す。2年目以降は、両分野を融合させた授業や学校行事も行っていく考えだ。