立命館大学は22日、都内でスマートウェアを活用して「寝たきりゼロ」の健康な社会を目指すための研究開発の進捗(しんちょく)を発表した。21年までの社会実装を目指し、産官学で研究開発を続けるとともに事業化を検討する。
今回発表した技術は、昨夏に東洋紡などと共同開発したスマートウェアと、超音波スピーカーを使った運動促進システム。スマートウェアの着用者の心電をパソコンやスマートフォンなどのデバイスに無線転送し、心電のリズムに最適な音楽を超音波スピーカーで流すことができる。超音波スピーカーは音を流す対象エリアを調整することができるため、公共空間の有効利用が可能だ。
生体情報の収集は、東洋紡の機能素材「COCOMI」(心美)を活用している。導電性を備え、伸縮するペーストを約0・3㍉の薄さのシートに加工してテキスタイルに圧着しており、インナーウェアとしての着用感を損なわない。Tシャツの上に着用しても計測精度は保たれる。センサーの種類を増やせば、心電以外にも呼吸や発汗、体温、関節の動きも計測できるという。
同大学は昨年2月、文部科学省が推進する10年後の社会を見据えた研究開発の支援プロジェクト「革新的イノベーション創出プログラム拠点」として採択され、「高齢化社会に向け、健康寿命を延ばすための運動習慣化」を目的に研究を進めている。
東洋紡やオムロンヘルスケア、大和ハウス工業、パナソニックがパートナーとなり、スポーツ、日常生活、睡眠、医療といった範囲でスマートウェアを活用して健康の維持・増進を目指す。「必ず社会実装することが命題」(伊坂忠夫立命館大学スポーツ健康科学部教授)として事業化検討会も重ねている。