快適性と都会的な美しさを追求するフットウェア「OAO」(オーエーオー)を運営するエポックは12月23日、東京・代官山に予約制の販売拠点「オーエーオーハウス」を開いた。IT業界出身の若手が、日本のデザイナーや紳士靴メーカーと組んで20年にECで開始、卸売りも徐々に伸ばし、付加価値の高さで支持層を広げている。
店舗面積は約68平方メートル。ガラス張りのインダストリアルな空間で試着サービスを提供する。ECでは試し履きの問い合わせが多く、これまでオフィスで対応してきた。しかし、コロナ禍が沈静化しオフィスで対応し切れないため、店舗を開設した。商品はユニセックスで、併設するストックルームに全サイズ(23~29センチ)のサンプルを揃え、購入後は倉庫から製品を配送する。卸売りは約2年前から限定して行い、中国、香港、韓国にも輸出している。自社ECを合わせた年間販売足数は1万足近いという。
ブランドを立ち上げた板垣孝明CEO(最高経営責任者)、高橋悠介COO(最高執行責任者)ともに、ITの仕事を経て靴のビジネスは「ゼロから始めた」。競争に勝つためのスポーツマインドのスニーカーではなく、「新しい物を作り出すクリエイターや創造性を持った人を引き立てるシューズ」を目指す。自らはブランドのディレクションに専念し、デザインはシューズデザイナーの串野真也さんに依頼。浅草の紳士靴メーカーに設計・生産してもらう。ソールの圧着など工程の一部は中国の工場で行うが、カットの美しさ、木型を使った立体のシルエット、重心を前に置いた設計の歩きやすさなど繊細な作りに魅力がある。
中心価格は3万円台~4万円台で、自分たちが作り上げた価値をSNSやサイトで丁寧に伝え、定価販売のみで成長してきた。生産数量に限りがあるため、新作やサイズが切れた商品は予約販売している。
同店は正午から午後8時に、1人当たり30分、1時間に6組の予約枠を設けている。社員7人で接客する。「そのコミュニケーションがなければ物作りを維持することは出来ないし、ブランドを育てていく上で欠かせないこと」という。