月城ニット(大阪府岬町、月城亮一代表)が20年春からスタートしたファクトリーブランド「ムーンキャッスル」が売り上げを伸ばしている。商品のほとんどを国内自社工場で生産し、素材からこだわった品質の高いベーシックニットを買いやすい価格で提案できるのが強みだ。国内卸、輸出ともに好調で、新規開拓も進んでいる。
(小畔能貴)
同ブランドは「トレンドに大きく左右されず、定番品に取り組みやすい」(月城代表)メンズから始めた。ニットのファクトリーブランドは他にもあるが、「マーケットのど真ん中を狙ったベーシックなセーターはあまりない」と考え、そこから攻めることにした。
現在最も売れているのが、メリノウールを使った12ゲージのモックネックセーター。8色を揃え、ウォッシャブルで税込み1万1550円。「品質と価格のバランスの良さが国内外から支持されている」と見る。こうした定番を軸にすえ、新作を少しずつ加えている。
ムーンキャッスルは前期(24年1月期)に80%増収、今期も30~40%増収となる見通しだ。国内の卸先は約50件に増え、海外販売先も30~40件になった。輸出はブランドに対する海外から問い合わせをきっかけにスタートし、24年には伊ピッティ・イマージネ・ウオモに初出展した。毎年販売先の開拓が進んでいて、25年も海外出展する。
一般的にニットが弱い春夏も、接触冷感機能を持つ「アイスコットン」を使ったサマーニットで売り上げを確保している。長袖も作り、暖冬に快適に着用できるとして好評だ。レディスも開始し、「メンズと同じくベーシックなハイゲージセーターがけっこう売れている。これから強化していきたい」と話す。
今後の成長をにらみ、自社工場に数年をかけて横編み機をはじめとした設備投資をしてきた。25年春に新卒採用も開始する。専門学校でニットを学んだ2人に内定を出している。