宮入 宮入正英社長
積み重ねた歴史感じる
東京・日本橋横山町の現金卸を代表する創業1908年の宮入の社長室は、同社がこれまでに積み重ねてきた歴史を感じることができます。
部屋の壁には祖父、父の代に藍綬褒章などを受章した際の賞状が飾られています。その横には、祖父と祖母の肖像画が左右に並びます。「祖父は社会貢献、公の心が強い人でした。その傍らで商いの要所を押さえていたのは祖母でした」と宮入正英社長。部屋の棚には宮入社長の父、正則氏が収集した象牙の細工を凝らしたアジア各国の民族人形が並びます。
「収集した品の多くが先の東日本大震災などで破損しました。今残っているのはわずか」と宮入社長。「今この部屋はVIPが来られた時や、役員会議を開く際に使用する程度で普段は使わない。父の代から、社長室にお金をかけるぐらいなら、売り場に投資せよと言われています」といいます。
室内に置かれたフォトパネルには、佐藤栄作首相(当時)が横山町を訪れた際、正則氏が現金卸街を案内する姿が写し出されています。この時代、横山町の景況は、日本経済の景気動向の指針の一つになっていました。
この部屋で現金卸としての原点を振り返りながら「祖父も父も公を大事にする人でした。業界の厳しい状況を宮入一社で切り開いていくのではなく、横山町全体として活路を見いだしたい」と語ります。