22年秋冬は、メンズで本格的なスーツが売れそうだ。春夏からその兆しが出始めた。ビームスでは、メンズのドレスレーベルの4月の売上高が19年同月比で13%増。コロナ禍前を上回った。
2年続いた在宅勤務主体の生活から、行動制限の緩和に伴い、外出や出社が増えたことが背景にある。4、5月は今や主流となった合繊のセットアップスーツももちろん売れたが、改めてネクタイをしっかり締めて着こなすテーラードのスーツを新調したいと考える層も出てきたようだ。
ただ、こうした需要をしっかり取れているのは、趣味性が高く、マニアックなドレススタイルを提案している店に限られる。トラッドがベースのビームス、艶っぽい着こなしが武器のエストネーションなどだ。
両者とも仕事用のユニフォームではなく「クラシックを今っぽく着たい」とか、「プライベートでも大人っぽい服装を楽しみたい」など、大人の男性客のごく狭い範囲のニーズにピンポイントで応える服を売っている。
最近では、SNSでこうした装いの楽しさに目を付けた若い客が買いに来るようになっているのも共通している。「こんな服が欲しい時はあそこに行けば絶対にある」。客がそう最初に思い浮かべる店、そしてその期待を裏切らない店であり続ければ、逆風下でもちゃんと生き残っていける。