《めてみみ》小金持ち

2020/01/27 06:24 更新


 財布の中身が減らないから、小遣いに余裕があると思ったら、銀行口座の残高がすごい勢いで減っている。ポイント還元を狙って、1000円以下の食事や買い物もスマートフォンを使うようになった。手持ちの現金を見て小金持ちになったつもりでいると、後であわてることになる。

 昨年10月の消費増税以降、キャッシュレス決済が急速に広がっている。経済産業省のキャッシュレス・ポイント還元事業などで利用者数は急増し、決済会社によっては期間限定で手数料を無料にしたこともあって個店でも導入が進んだ。

 ただし、経産省の事業は6月で終了し、決済会社のポイントキャンペーンもやがて一段落する。ユーザーのメリットは薄れ、これまでのようなペースでの利用率の拡大は見込めない。中小の加盟店も利用率が伸びないのなら、決済だけのために数%の手数料を支払うことに二の足を踏むだろう。

 現金よりもデジタルによる決済の方が得られるデータの利用価値が高いと言われる。ユーザーの属性や消費行動の分析がしやすく、精度の高いマーケティングが可能になるからだ。キャッシュレス決済を導入した個店は「決済だけでなく顧客との関係強化を期待した」と口にする。加盟店の販促や顧客サービスにどうつなげるか、キャッシュレス決済は新しい段階を迎えている。



この記事に関連する記事