《めてみみ》小康社会

2020/01/22 06:24 更新


 中国国家統計局が17日発表した19年のGDP(国内総生産)は、物価の変動を除いた実質で前年比6.1%増だった。この数値は90年以来29年ぶりの低い伸び。同時に発表された第4四半期のGDPは前年同期比6.0%増で、第3四半期と同じ。19年は第1四半期6.4%増、第2四半期6.2%と減速。第4四半期は何とか踏みとどまった形だ。

 20年の政府の成長率目標は6%前後と予想されている。目標達成には景気減速に歯止めをかける必要がある。20年は「小康社会」(ややゆとりのある社会)実現の年で、政府はGDPを10年比で2倍にする目標を掲げている。実現のため20年の成長率は5%台半ばが必要という。

 実現に向けて政府はインフラ投資の拡大、消費喚起、金融緩和などを引き続き実施するとみられる。国家統計局は発表の場で、19年の1人当たりのGDPが「1万ドルの大台を突破した」ことを明らかにすると同時に「中国が発展途上国であることに変わりない」とも話した。

 上海の街中をみても豊かな生活を享受する人がいる一方で、飲食店などで働く人の中には狭い部屋で共同生活をしている人たちもいる。小さくなったとは言え格差はある。しかし絶対値でみれば世界第2位の経済大国であり存在感を増している。国際社会から求められるものの質も変わってきた。



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