速くしようとすれば車は流線形に近づくが、その必要がなければ車の形状に制約はない。19年の東京モーターショーにも出展したローランド・ベルガーと協業チームが制作した「バトラーカー」は、優雅さの際立つデザイン。時速10キロほどの低速走行が前提だ。
移動の手段を持たない交通弱者が社会的な問題になっている。必要なものを買いに行けず、困難な暮らしを余儀なくされる。ドローンによる宅配も現実味を帯びてきたとはいえ、そうした手段では買い物はできても買い物に行くことはできない。高齢者の外出は、認知症予防や寝たきり予防に効果があるとされ、買い物に行くことは必要なものを調達する以上の意味がある。
岐阜市の商業施設、カラフルタウン岐阜では「カラタン未来ラボ」を設け、企業や研究機関と連携し、先端技術の実証実験を行っている。新型モビリティー(移動体)も研究ターゲットの一つ。バトラーカーを未来ラボで紹介し、敷地内を試乗走行したのも、新しいモビリティーとして改善につなげたいとの思いからだ。遠隔操作が可能なコンパクトなボディーは、様々な利用シーンが考えられる。
よりオンデマンドな乗合バスや自動運転のレベル3段階の実用化も始まった。来店の動機付けに加え、手段の提供も近未来の商業施設のテーマになろうとしている。