《めてみみ》新規客の獲得に

2018/12/14 06:24 更新


 「郊外店とは違う意味で、都心店にも専門店を入れたらどうかと考えている」とは、ある百貨店の経営幹部。郊外店・支店への専門店導入は、集客力に乏しい上層階を縮小して賃貸借契約に切り替える事例が多い。館全体の集客力向上も見込んではいるが、背景にあるのは店舗の収益性の改善だ。

 都心店は収益面での大きな問題はないはず。にもかかわらず専門店導入を検討するのは、新規客層の獲得が思うようには進んでいないからだ。先の百貨店が対象としているのは婦人ファッションフロアらしい。化粧品部門は20代を中心に新規客層の購買が増加中だが、関連商品といえる服への買い回りに結びついていない百貨店が大半だ。

 化粧品は百貨店でしか買えないブランドを数多く集積しているのが強み。婦人服も百貨店だけのブランドはあるが、百貨店以外に選択肢は多い。獲得したい新規客層に支持されている専門店を集積することで、婦人服フロアの客層が広がると見ているのだろう。

 もっとも、人気の専門店を導入しただけでは、新規客層の来店のきっかけにはなっても、化粧品同様に買い回りが進むとは限らない。当該店舗および周辺を含め、対象客層の関心事を追求したモノ、コト、サービスを付加して継続的に提供しないと、〝百貨店顧客〟になる確率は高まらないように思う。



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