《めてみみ》一青年の熱意

2018/12/06 06:24 更新


 同志社大学の創立者として知られる新島襄。日本が鎖国下にあった1864年にアメリカに密航した。滞在中に洗礼を受け、キリスト教に人生を捧げる決心をする。約10年間、アメリカで生活した後、日本に帰国して、神学校を作る計画を立ち上げた。

 とはいえ先立つ資金はなく、寄付を募るための会合を開いた。結果、聴衆は新島の演説に大きな感動を受ける。ある実業家はその場で大金を寄付し、貧しい農夫の1人は、帰りの汽車賃に充てる予定だった2ドルを置き、遠い道のりを徒歩で帰ったという。あっという間に必要な資金が集まったらしい。

 多くのアメリカ人は、プロテスタンティズムを日本で広めようという宗教的な思いで寄付したのだろう。それでも、東洋の一青年の熱意に動かされ、多額のお金を託すには勇気がいったはず。アメリカのフロンティア精神や寛容が強く印象に残るエピソードだ。

 昨今、国家間の関係がぎくしゃくすることが多い。先の米中首脳会談も注目された。懸念された第4弾の経済制裁はひとまず先送りとなったが、仮に衣料まで対象が広がれば、日本の繊維産業にとっても大きな影響が出たはずだ。

 日韓関係もしっくりしない。理想論で外交問題が解決できないのは承知する。それでも、お互いが寛容の心を失えば、政治やビジネスは成り立たなくなる。


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