レディスのトラ(札幌) 商品力と接客力で売り上げ好調

2018/04/30 04:30 更新


《ローカルでいこう》札幌のレディス専門店トラ こだわりオリジナルに支持拡大 1週間でがらり変わる品揃え

 「ジゴ」「メラーンジュ」のレディス2業態・7店を北海道で運営するレディス専門店のトラ(札幌市、大石靖彦社長)が、商品力と接客力で売り上げを伸ばしている。強みのオリジナルウェアは中国でこだわりの物作りを実現。店は週2回新商品が入り、1週間でがらりと打ち出しが変わり、幅広い年代の服好きに応えている。

(疋田優)

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豊富な知識で

 84年、札幌文化屋雑貨店からスタートした。88年にテナント出店し、1年後にオリジナル商品「トラ」を開始。その後、姉ブランドのジゴを立ち上げ、96年に社名をトラに変更した。オリジナルと欧州、中国、韓国からの仕入れ商材をミックスしたレディス2業態を展開する。

 主力のジゴは、自身のスタイルや価値を大切にする20~60代の幅広い女性をターゲットに、オリジナル衣料が80%、インポート靴・バッグが20%の構成で、札幌に2店ある。メラーンジュは雑貨ミックスで立ち上げ、20~40代向けにエスニックとナチュラルのミックスと手頃な価格が売り。オリジナル衣料20%、中国・韓国仕入れが80%で札幌4店と旭川に1店持つ。

 ここ数年は、商品の作り、見栄えの差、店舗の個性で客を引きつけている。ジゴのオリジナルをデザインするのは大石社長の妻のみさき専務で、元スタイリストだった感性と旬のスタイル提案が強み。いつの時代も着られるベーシックを基本に、欧州のミリタリー、ワークテイストを取り入れる。大石社長はパターンを引き、縫製もできる。夫妻で洋服の知識も豊富なため、素材やアイテムに見合った服の仕様を徹底する。

棚や什器は欧州を巡って仕入れたものを活用し、1店ずつ異なるデザインも支持されている(「ジゴ」札幌ピヴォ店)

妥協はしない

 生産も2人揃って中国工場に足を運ぶ。ジゴで使う素材は欧州や日本製で、上質・高級感を求めるが、価格はリーズナブルを追求するため、縫製、加工は海外で行う。仕様・パターンなどは妥協しない。例えば、シャツは脇部分を巻き縫いをするものが多く、工場とは密なコミュニケーションを取り、年間140日は生産現場に出かける。

 作り手の思いや商品パワーをスタッフに思う存分伝え、スタッフが朗らかに客に伝える。「ジゴとメラーンジュの商品に驚いてくれる人がいるのがうれしい」と大石社長はいう。

「自分らでやれることは全てやる」。パターン、デザイン、生産担当の大石靖彦社長(右下)とデザイン、スタイリング担当の大石みさき専務(左下)。小田島恵麻常務(左上)がバイイングし、佐藤英樹取締役が店舗を統括

 店には1週間に2回新商品を投入し、鮮度を高めている。商品が素早く変わるため、顧客の購買意欲は高く、商品回転率は月1回転以上だという。

 シューズが強いのも特徴。イタリアの「モマ」は扱い始めて7年、3万~5万円するが、ジゴ2店で年300足オーダーしており、全店で他ブランドを含めて800足販売している。

 前期(17年9月期)の売上高はメラーンジュ新札幌出店も貢献して6億3000万円で前期比25%増。今期に入って約5カ月、客数は前年同期比微増、客単価が大幅に伸び、全店ベースで20%増で推移している。19年春に札幌に1出店がほぼ決まっているが、今後もマイペースを重視し、大きな成長目標は立てていない。

 「とにかく商品と接客力が重要。スタッフが商品に誇りを持って、楽しみながら仕事ができる会社を今後も目指したい」と話す。スタッフの待遇は30歳店長で年収500万円と手厚くし、仕入れなども同行させ、学ぶ場を提供して成長を促している。



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