川徳(盛岡市)は18年度からの新中期経営計画で、段階的な改装を継続するとともに、日常使いの値ごろ感ある商品の導入を本格化する。「買いやすい価格帯の幅を広げる」ことで顧客層の拡大、買い上げ頻度の向上に結び付ける。従来の高付加価値商品だけでなく、モデレートを拡大して消費の二極化に対応する。
(松浦治)
単品平場など自主運営売り場は、NBと同水準の価格帯の商品が過半数を占めており、プライスライン(最多販売価格)が年々上昇していた。例えばワイシャツの平均単価は「昨年で9000円まで上がっており、5000円台の商品を増やしたい」(門口敬文常務取締役)という。同様に各アイテム、全商品領域で価格帯の幅を広げて買い上げ客数の増加を狙う。
主力取引先を中心に良品廉価の低価格ゾーンの商品確保を優先し、新規取引先の開拓に着手する。「SCとの競合を意識して、富裕層を対象とした付加価値のある高価格帯に偏重してしまった。地方百貨店は全方位の品揃えが必要」(門口常務取締役)と自主でモデレートの商品構成を約4割まで増やす。
今後の改装では、日常性、利便性の高い店作りを徹底する。オケージョン対応だけでなく、顧客の関心の高い趣味、健康、美など領域を拡大していく。
昨年4月の組織再編で、営業を6部門から3部門へ集約したのに次いで、昨秋には役職者を販売のマネジメントなどに充てた。店頭起点の運営を徹底し、顧客の声をMD、サービスに生かす仕組み作りを徹底する。外商部門は3月から6地域から4地域に集約し、盛岡市内を一本化して顧客に対応することで、効率の向上につなげている。
昨春の改装で食品に導入した北野エースは苦戦が続いたが、3月から売り上げが上向いている。顧客の1000件の要望に基づいて品揃えを修正した効果が表れた。一方で、JR盛岡駅ビル、フェザンに新設した「カワトク・キューブミニ」は5月末に閉店した。自家需要やギフトに対応した婦人服、雑貨、食品などを品揃えし、昨年4月末にオープンしたが、新規に顧客化するまでに至らなかった。
18年2月期の売上高は206億8600万円(5.9%減)だった。
