パリを拠点にするアーティスト、河原シンスケ氏がジュエリーブランド「フェスタリア」と協業。コインジュエリーのコレクション「プチウサギ・シンスケカワハラ・フォーフェスタリア」をリリースした。様々なメゾンと組み、幅広く活動する同氏だが、ジュエリーのデザインは初となる。
(聞き手=中村維)
絵画のような作品は、距離を取って眺めることでじわっと来る良さがある。音楽なら、一音が瞬間バン、と鳴るとビビっと来る。クリエイションの感じ方には、それぞれ違いがあります。ジュエリーはじかに肌に触れ、ずっと身に着けたりと、手元に置きたいと思って下さる方と直接つながる身近さが面白く、作ってみたいと思っていました。
創作時には、毎回文章を書きます。今回は、紀元前260年代にローマで執政官も務めた実在の戦士、マニウスに焦点を当て、物語を作りました。権力者だけど、家では家族思い。芸術家肌で、飼っていたウサギのユリウスをよくスケッチしていた。彼の死後、ユリウスを彫ったメダルを息子たちが見つけ、それを元に金貨を作る。その金貨が数千年後に発掘されたのがこのコイン、というストーリーです。
コインにどう凹凸をつけるか、ジュエリーを作る方に分かりやすいようデッサンに陰影をつけ、ミーティングも重ねました。協業は、双方へのリスペクトやこだわりがうまく融合しないと良いものは作れません。今回も、デッサンを形に起こせる素晴らしいチームがいたからこそ、自分でも好きと思えるものができました。
ジュエリーもそうですが、やりたいことはどんどん出てきます。子供のように、「これがこうなったら!」と常に何かを考えていて、周りの方たちが「それ、やりますか」と言って下さる。ありがたいことです。頭を柔らかくし、物作りやビジネスを担う方へのリスペクトを忘れずに、好きなことを止まらず続けていきたいですね。