イッセイ「ハート」、手仕事の美しさ

2015/09/17 06:41 更新


 イッセイミヤケ「ハート」の16年春夏コレクションは、手の込んだ染織や日本の伝統技法を組み合わせ、独特の色柄と風合いを生み出している。

 テーマはエアー。空気の変幻自在な性質や軽さを表現した。伝統技法や手仕事を込めた味のある色柄、空気をはらむような軽やかなフォルムが特徴だ。目玉は、アーティストの山元勝仁の作品「AIR」に着想を得たチュニックやジャケット。

 同作品の特徴である鮮やかな色彩の花や抽象柄をジャカード織りで描いた。複雑な柄だけに、1時間に50㌢しか織ることができない。絵画のような色ムラと細かく刻まれたしわが味わい深いドレスは、ブラックデニムと同じ方法で染めた糸で生地を織り、しばり加工した後、抜染した。

 伝統的な織り柄や染色方法も取り入れている。風呂敷や着物の帯などに使われてきた吉野格子と呼ばれる大きな格子柄は、ジャケットやチュニックなどの全面に走らせた。深い黒と鮮やかな色のバイカラーが目を引く羽織り物やトップは、1着ずつ絞り、紋付と同じ技法で深い黒に染めた。ベースのリネンは、特殊加工で柔らかく仕上げている。

山元勝仁「AIR」の色鮮やかなモチーフをジャカード織りに
山元勝仁「AIR」の色鮮やかなモチーフをジャカード織りに


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