《センケンコミュニティー》広島カープ25年ぶりリーグ優勝で喜び爆発
広島東洋カープが25年ぶりにリーグ優勝を決めた9月10日。広島だけでなく、全国のカープファンが歓喜の雄叫びを上げた。それは、ファッション業界も例外ではない。今回のセンコミでは、クライマックスシリーズ(CS)を前に、業界の熱烈なカープファンの皆様に、その熱い思いを語ってもらった。
■アスティ カープ同好会
■TSI・プロダクション・ネットワークSCM推進部品質管理課 岸かおりさん
■東レ宣伝室 大石賢二さん
■街角リポート 真っ赤に染まった広島
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■アスティ カープ同好会
「負けても勝っても」好き!
広島に本社を置くアスティには、社内のコアなファンで作るカープ同好会なるものが存在する。カープのお膝元ならではのエピソードとして、その昔、会社の館内放送でラジオ中継を流して全社で応援したこともあったそうだ。新球場の誕生や最近のカープ女子ブームでチケットが取りづらいのが悩みの種だが、全国にカープ人気が広がることはうれしいと口を揃える。
──カープファン歴は。
中村直美さん 祖父が野球好きで、子供の頃にお盆に田舎に行くとテレビがついていたのを思い出します。家の中に普通にカープがありましたね。
若村淑生さん 私も小学生の頃は家族で観戦に行っていました。自然に家の中にカープがあったという感じでした。昔は今のようなメガホンではなく、宮島名物のしゃくしで応援していたのを思い出します。今年は毎月応援に行っています。負けた次の日は新聞は開かない。でも負けてもファンじゃなくなることはありません。
安木理子さん 私は出身が島根なので、社会人になって広島に来てファンになりました。うちの会社にはファンが多いので、休みの社員が早めに球場に行って自由席を押さえておいてくれたりして、会社のみんなと観戦に行くのは楽しいですね。
松本亜矢さん 物心ついた時からファン。まわりがファンだったから。昔はおじさんばかりだったけど、最近は女性の観客も増えた。球場も新しく奇麗になったので女性や子供が行きやすくなりました。
──好きな選手は。
安木 菊池涼介選手。最初は見た目で好きになったけど、守備がとても上手なんです。試合中に飛球が見えやすいよう、あえて帽子の鍔(つば)を平らにしているところもこだわりがあっていいですね。
中村 私は元選手の高橋慶彦選手ですね。現役の頃に出したCDなども持っています。
──カープの魅力とは。
半場美由紀さん 赤い風船が舞う瞬間は好きですね。ちなみに黒田博樹選手の登板日には背番号の15が印刷された風船が売られるんですよ。あと、球場にいろんな席があるのも楽しい。テラス席やバーベキューなどが楽しめるパーティーグリル、寝そべって観戦できる寝ソベリアや砂かぶりなど。
松本 砂かぶりはミーハー客には選手が近くで見られるからいいですね。視点が低いため、選手のお尻がよく見える。女性ファンの間では選手のお尻の話題で盛り上がるようです。
──今のカープ人気について。
若村 今年は打線がつながっていました。試合前には広島駅前が真っ赤な人であふれる光景が増えましたね。
中村 カープ女子などブームになっているけれど、カープの認知度が高まるのはいいことだと思います。実際こんなにカープファンっていたんだと実感してます。
安木 最近は人気でチケットが取れなくなりましたが、今年は2回行けました。来年は菊池選手をもっと研究して年3回の観戦をめざします。
■TSI・プロダクション・ネットワークSCM推進部品質管理課 岸かおりさん
カープありがとーー!
リーグ優勝がこんなにうれしいとは思わなかったです。優勝決定の瞬間は、周りにいた知らないファンの人たちと泣きながら喜びました。黒田投手と新井さんの涙には泣かされましたね。カープありがとーー!という気持ちです。
10歳からカープファンです。小学生の頃、親の転勤で広島に住んでおり、よく観戦していたのがきっかけです。家が広島市民球場から近かったので、仕事帰りの父とよく自転車で観戦しに行っていました。ジェット風船やスクワット応援(※カープファン独自の応援スタイル。攻撃時、選手別応援歌をワンコーラス歌い、次のターンからは曲に合わせて交互に立ったり座ったりしながら選手名をコールする)が楽しくて、毎回お祭りに行くような感覚でした。ファン暦20年にもなると、当時活躍していた選手が現在、監督やコーチになっているので、より楽しいですね。
カープは選手一人ひとりが全力でプレーしていて、チームワークがいいところが魅力です。生え抜きの選手が多く、ファン思いで、みなカープ愛が強い。なかでも、黒田の復帰には感動しました。ファン同士も仲が良く、観戦中は周りの知らないファン同士で一緒に盛り上がって応援しています。応援グッズを持っていない人がいたらグッズを貸してくれる人もいたりします。
いちおしは、鈴木誠也選手。優勝を決めた連続ホームランや交流戦での2試合連続サヨナラホームランなど、今年まさに神がかっている活躍ぶりの若手選手です。いずれは前田智徳の背番号1を継承して欲しい! これからの更なる成長に期待しています。
ホームで初めて迎えるクライマックスシリーズは、ファンの声援を味方につけて、チーム一丸となって何としても勝ってほしい。そして、日本シリーズ制覇を目指して頑張って欲しいです!
■東レ宣伝室 大石賢二さん
「できの悪い子」ほど可愛い
広島で生まれ育つと必然的にカープファンになるんです。ファン歴は50年以上。小学校1年くらいのときに、大石清という同じ名字のピッチャーが活躍していたので、体操服の背中にマジックで彼の背番号の22を書いて着ていました。
75年のリーグ初優勝時は大学生。東京にいて就職活動の真っ最中でしたが、優勝が決まるという日に東レの2次面接がかぶってしまった。でも、これを逃すと二度とカープの優勝はないと思ったので、「のっぴきならない事情がありまして…」と言って面接の日を変えてもらい、後楽園の試合にかけつけました。試合終了後は、ほかのファンに交じって私もグラウンドになだれ込んだり、あの日のことは鮮明に覚えています。東レは落ちると思ったんですが、なぜか今にいたります。Wの奇跡ですね。
家族も全員カープファンです。上の子は横浜で生まれたんですが、「どうしてお父さんはカープファンなの?」「広島で生まれたからかな」「じゃあ僕はベイスターズだね」と。それじゃ困る!と、必死にカープのパジャマを着させたり、球場でもカープ側の席で応援させて、彼もめでたくカープファンになりました。
今年のリーグ優勝が決まった試合は、妻とテレビで観戦していました。優勝してもはしゃぐということはなく、むしろ新井と黒田の抱き合う姿を見てもらい泣きしました。今シーズンの戦いを振り返ると、菊池と新井の活躍がすごかったですね。
なぜずっとカープが好きなのかと聞かれると、地元愛もそうですが、できの悪い子ほどかわいい、というやつです。努力は必ず報われるといいますけど、カープはお金もないし、ドラフトの有力選手は他チームを逆指名するし、育てた選手もFAで出ていく。それでも歯を食いしばって努力して、ようやく25年で報われた。社会人になると努力が報われないことばかりですが、それでも頑張り続ければこういう希望もあるんだなと。本当は、10年に一度くらいは優勝してほしいんですが。
日本シリーズにもぜひ進出してほしい。ここ一番に弱い球団なのでものすごく心配しています。でも長年のファンとしては、今回のリーグ優勝に勝るものはないですね。
■街角リポート 真っ赤に染まった広島
商店街も個店もお祝いムード
広島市内の商業の中心地、本通り商店街は、あの手この手でお祝いムードを盛り上げている。
優勝前の9月8日から、「優勝への軌跡」を紹介した記念パネルを設置。選手の等身大写真を使用したもので、道行く人たちがしきりに写真を撮っている。10日は、優勝決定5分後にアーケードの照明を赤色に切り替え、街を熱っぽく染め上げた。11日からは、各店で優勝イベントを実施。
「シップス」「ABCマート」「チュチュアンナ」などがセールをしたほか、「ウンナナクール」は福袋を販売、「アシックスウォーキング」は靴購入で赤い靴べらをプレゼントした。30日には、75年の初優勝時と同様、市民のちょうちん行列を開催。参加に必要なTシャツとちょうちん(セットで3000円)は、2000点が即完売した。
地元のレディス専門店「クレエ」も、店内すぐのディスプレーをカープ仕様にアレンジ。主力の「オールドマンズテーラー」の赤色のアイテムをピックアップし、大人のカジュアルコーディネートを見せた。カープファンのスタッフから、「広島人ならやらないけんじゃろ!」と猛烈なプッシュがあって実現。普段はセールはしないが、今回は2日間10%オフの記念セールを実施した。お客さんからは、店の雰囲気とのギャップもあり、お客には喜んでもらえたそうだ。