シャネル 英ファーフェッチとデジタル戦略で契約

2018/02/20 13:22 更新


 仏メゾン「シャネル」は19日、ラグジュアリーファッションのECサイト大手の英ファーフェッチと、デジタルにおけるパーソナルサービス開発を目的としたパートナー契約を結んだと発表した。シャネルはまた、これを機にファーフェッチの少数の株を取得し、資本参加した。投資額は非公表。

 シャネルはこれまでプレタポルテを除く、サングラスやコスメティックをネットで販売していた。ブルーノ・パブロフスキーファッション部門社長は昨年11月末に開催されたヴォーグファッションフェスティバルで、ラグジュアリーメゾンとデジタルについて講演し、「本業である小売業に徹することが基本」とし、「ECに先走りしてはいけない」と慎重な態度を示していた。

 ファーフェッチとの今回の契約では、プレタポルテコレクションのネット販売ではなく、デジタルを手段とした顧客サービスの向上と発展が目的。世界中どこのブティックでも客を識別し、その人の好みやサイズなどが分かるスマートフォン用アプリなどの開発を進め、ミレニアル世代(80年代から00年前後に生まれた世代)をにらんだデジタル戦略に乗り出す。

 ファーフェッチは、ジョゼ・ネヴェス氏が08年に創設。ラグジュアリーブランドとクリエイターのECだけでなく、デジタル分野でのサービスやソフトの開発も行っている。

 デジタル対応の遅れを指摘されてきた欧州ラグジュアリー業界だが、昨年には仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンがその傘下の仏百貨店ボン・マルシェとともに世界75カ国でECサイト「24(ヴァンキャトル)セーヴル」を立ち上げ、またこの1月にはリシュモン(スイス)が、ユークス・ネッタポルテの経営権を掌握するため、TOB(株式公開買付け)を行うと発表するなど、デジタル戦略を加速させている。

(パリ=松井孝予通信員)



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