ミラノで開かれた「ミラノ・デザインウィーク」で、カルティエは腕時計「サントス・ドゥ・カルティエ」の新作発売を記念して特別展示を行った。タイトルは「ザ・レジェンダリー・スリル」。世界で初めて実用的腕時計の基礎を築いた歴史とその世界を示した。
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会場は市内の歴史的建造物である「アルコ・デッラ・パーチェ」(平和門)に隣接した、この展示のために建てられたガラス張りのパビリオン。イタリア人音楽家ブースタが特別に作曲した、飛行機で離陸するイメージの音楽と、セブ・エドワーズが監督しジェイク・ジレンホールが主演した空への夢と自由な挑戦を象徴するスペシャルムービーを経て、サントス・ドゥ・カルティエ誕生のストーリーを史料やインスタレーションで詳細に説明した。
この時計の誕生のきっかけを作ったブラジル人飛行士アルベルト・サントス・デュモンが、1906年に60メートルの飛行に成功した飛行機をアーティスティックに再現した巨大なインスタレーションもある=写真。空気の動きをエモーショナルに再現した風のトンネルなどもあり、空への憧れと新しい技術にチャレンジすることの魅力を伝えた。
デュモンは1901年、友人のルイ・カルティエに飛行時に懐中時計で時間を見る際の不便さを訴え、3年後にカルティエは腕に着けることを前提とした初のモダンウォッチを作り出し、時計製造業界に革命を起こした。夢への挑戦を象徴するサントス・ドゥ・カルティエの物語を背景に、魅力を再認識させる展示だった。
(ミラノ=高橋恵通信員)