エイチアンドエイ(東京)のオーダーメイドを主力としたレザーグッズ「カルクル」と、高校生によるアイドル活動をテーマにした人気アニメ「ラブライブ!」シリーズの協業企画が好調だ。さりげなく作品の世界を落とし込んだ、ファン心をくすぐる商品が話題を呼んでいる。
(高塩夏彦)
協業は19年に、ららぽーと沼津(静岡県沼津市)へカルクルが出店したことがきっかけだ。ラブライブ!シリーズの2作目、「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台が沼津であることに、作品のファンだった同社の後藤光博営業本部第三課課長が注目し協業に至った。ストラップやコースターなど、既成品のレザーグッズも販売しているが、自社工場という生産背景を生かした、財布や名刺入れなどのオーダーメイドがメインだ。
同作品では、各キャラクターにイメージ色とマークがある。たとえば、作曲を担当するキャラクター「桜内梨子」のイメージ色はピンクで、マークはデフォルメしたピアノといった形式だ。オーダーは、ベースになる革の色とマークが刻印されたレザーパッチを2種類まで選んで注文できる。ステッチの色など細かい指定にも対応する。色とマークで表現することで、さりげなく〝推し〟を持ち歩けると評判になり、沼津店では、協業の初月に500万円以上の売り上げになった。
キャラクターの誕生日に受注が多くなる傾向があるなど、MDが組み立てやすいメリットもあったという。「大人が普段使いできるグッズにするというコンセプトが当たった。オーダーメイドというオンリーワン感も受けている」と後藤氏。
近年、話題になることが多い〝聖地〟ビジネスの視点も取り入れている。作品のファンが集まることで有名な地元写真館の、つじ写真館(沼津市)と協業で、レザーのカメラストラップやレンズキャップといった商品を企画し、同店とカルクルららぽーと沼津店で限定販売している。「聖地でお金を使って盛り上げたい」というファンのニーズと合い、売れているという。
好調を受けて、後続作品のとの協業も続けている。主に期間限定店形式で販売し、出店地は各作品の舞台に限定している。店内には、キャラクターのぬいぐるみなどのグッズを並べ、雰囲気作りにもこだわった。客が楽しめる環境で接客が弾み、評判もいい。
7月25日まで東急プラザ表参道原宿店(東京都渋谷区)で、原宿が舞台の「ラブライブ!スーパースター!!」と協業した期間限定店を開いており、北海道から訪れる客もいるほど盛況だ。
守屋英俊社長は「コロナ禍の影響で、既存のビジネスではよくて8割までしか戻らない。アニメとの協業は挑戦だったが、好調だ。ファンの愛が強く、リピーターも多い。新しい事業の柱になる」と話す。