キャナル博多、訪日客増え前期8%増

2015/04/22 06:17 更新


 来年4月に開業20周年を迎える複合商業施設、キャナルシティ博多(福岡市、福岡地所運営)が好調だ。15年3月期の業績は、来場者数が開業初年度に次ぐ約1530万人(前期比4.8%増)となり、全館売上高は約450億円(7.7%増)に達した。天神や博多地区の商業施設の中でもトップクラスの伸びとなったのは、インバウンド(訪日外国人)需要の予想以上の拡大だった。

 同施設は、二つのホテルや劇場を備えるなどの複合機能と独特の施設環境を強みに、開業当初から海外を含む広域からの集客力に定評があった。しかし11年の東日本大震災と原発事故、日韓・日中関係の悪化などの影響で強みだったアジアからの来場者が激減していた。円安が進行した13年度から外国人来場者が回復し始め、14年度はさらに伸びた。

 把握可能なデータでは、大型バスで訪れたクルーズ船の団体客が前年度比8倍の約18万人に達した。外国人来場者の半数以上を占める韓国はじめ、台湾、タイなどは個人旅行者が多く実数把握が難しいが、「相当増えているのは確実」(福岡地所)という。売上高に占める外国人客購買額も推計だが、「全体の5~10%になったのでは」としている。

 福岡都心商業施設の中で同施設に外国人客が数多く訪れる理由として、入居する家電のラオックスによる中国人客への独自アプローチのほか、団体客の行動管理がしやすい施設規模、海外での一定の知名度の高さが挙げられる。

 昨年12月から、韓国最大の新韓カードが発行する韓国内専用カードを使えるように決済システムを整えたり、春節時期に免税対応店舗を着々と増やしたことなども外国人の使い勝手を高めた。

 外国人客の人気を集めているファッション関連店舗は、カネコオプチカルやレザースニーカーのスピングルムーヴなどのメード・イン・ジャパンブランドのほか、オニツカタイガーやGショック、ユニクロ、無印良品、モンベルなど。

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