ラ・ブルス・ド・コメルスピノーコレクションが開館

2021/05/25 10:58 更新


ウルス・フィッシャーの作品(写真:Stefan Altenburger)

 【パリ=松井孝予通信員】待望のラ・ブルス・ド・コメルスピノーコレクションが5月22日にオープンした。ルーブル美術館とポンピドーセンターの中間に位置し18世紀建築を代表するラ・ブルス・ド・コメルスが、フランスの弱点とされてきたコンテンポラリーアートの美術館に生まれ変わり、さらにここからパリ中心地が再生されていく。このミラクルな出来事に街は沸いている。

 この美術館の父は、ケリンググループ創業者フランソワ・ピノー氏。実業家だけでなく、現代アートの世界屈指のコレクターの顔を持つ。06年からは美術館活動、アーティスト・美術史支援のプロジェクトにも力を注いでいる。

 ベネチアのパラッツォ・グラッシ、プンタ・デラ・ドガーナに続くパリのピノーコレクションは、ピノー氏と安藤忠雄氏の三つめの協業でもある。17、18世紀のイタリア建築を美術館に改修したこの日本人建築家が、ラ・ブルスを見事に蘇生させた。

 開館を記念する展覧会のタイトルは「ウーヴェルチュール/開幕」。独学で審美眼を鍛えてきたピノー氏からの、現代アートを体験する招待状だ。同氏がセレクションした欧州で初公開となるアフロアメリカ人デイヴィット・ハモンズら、様々な表現方法による作品が展示されている。



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