ボンマルシェで聞いた「言葉」のインスタレーション

2017/04/03 06:29 更新


 「ボンジュール、幻覚誘発性のフロアスタンドありますか」「セルフィー撮りたいからシャンパンいただけるかしら」「わたしは左岸一筋なの」「あなたの服、すてきね。そんなの知ってるわよ」「あなた、ラスクみたいなファッションね。わたしがきれいなフランスパンに変身させてあげるわ」「歩くときれいでセクシーな音がするハイヒールが欲しいのですが」

 これ、パリ左岸の百貨店ボンマルシェの客の発言だ。ドキュメンタリー映画『サイン・シャネル』の監督ロイック・プリジャンがボンマルシェに数日間潜み、そこで聞いた客または販売員のフレーズを彼独特の繊細な耳でスケッチした「ボンマルシェで聞いた」展が開かれている。

 パリジャンがセレクションしたフレーズをTシャツ、バッグなどのファッショングッズ、キッチン用品、文具にしたコンテンポラリーアート作品のようなコレクションを、本館1階に開設した真っ白なスペースで展示販売している。展示された言葉は一言も訳されていないが、「意味が分からないけどグラフィックがすてき」とツーリストたちが仏語グッズをお土産にと購入している。時に滑稽でシニカル、時に詩的でファッションな、客それぞれのボンマルシェ劇場のような言葉展はパリジャンに大受けしている。4月2日まで。

(パリ=松井孝予通信員)

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