有本化学工業、金沢工大、福井大 共同でポリプロピレンの高堅牢度染色に成功

2020/08/21 06:25 更新


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 染料メーカーの有本化学工業(大阪府八尾市)、金沢工業大学、福井大学は共同で、ポリプロピレン(PP)繊維の高堅牢度染色に成功した。PPとの親和性が高い新しい染料を開発し、次世代の無水染色技術である超臨界染色を用いた。

 PPは容器、包装、レジ袋など幅広い用途に使われる汎用プラスチック。水にも浮く軽量性、耐熱性、耐薬品性などを併せ持ち、樹脂が安価なのも特徴。一方で、ポリマーに染料が結合できる場所(官能基)がないため、染色できないのが難点で、繊維では衛材向け不織布、カーペットといった資材分野のほか、疎水性や保温性の高さを生かしたスポーツ・アウトドア向け肌着、靴下など用途は限定的。

 従来のカラー素材は、原料段階で色材を練り込む原着糸か、改質した糸で、原着糸は細繊度にできず、色バリエーションも限定され、改質糸はPPのメリットが薄れるという制約があった。今回、3者が共同開発したPP繊維の染色では、PPを染めるキノン系の新規染料を開発。PPは炭素、水素原子のみで構成されるため官能基がないが、染料の一部にPPと似た構造を導入することで互いの親和性を高めた。

 特殊な染料のため、液流染色など通常の水系では染まりにくく、超臨界染色を用いた。超臨界染色は高圧釜で二酸化炭素に高い温度と圧力をかけ、気体や液体とも異なる超臨界という状態にし、これを媒体に対象物を染める方法。超臨界下でPP繊維が膨潤し、二酸化炭素に溶解した染料が繊維に取り込まれて拡散し、乾燥など後工程も不要。染色堅牢度は洗濯、耐光、摩擦などいずれも4級以上が得られた。

 染料及び染色方法で2件の特許を3者共同で取得済み。染料は黄、赤、青の3原色が揃い、紫、緑を加えた7種の染料を販売する予定。超臨界染色機が設置されているアジア向け中心に、有本化学工業が染料を製造・販売していく。

 共同チームの堀照夫福井大学産学官連携本部客員教授は「PPは夢の繊維と言われながら、制約があり広がらなかった。リサイクルも容易で、今後、時間はかかってもポリエステルから置き換わっていく可能性がある」としている。

堅牢度が高く、ポリプロピレン繊維の用途拡大が期待される

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