【ロンドン=小笠原拓郎】ジョナサン・アンダーソンが手掛けるJWアンダーソンが不在の18年春夏ロンドン・メンズコレクションで、ポスト・ジョナサンをうかがう注目ブランドのコレクションが相次いだ。
その一人はマーティン・ローズ。バレンシアガのメンズデザインチームの一人でもあるローズは、これまで限られた人にだけインビテーションを出して発表していた。今回はショーのオーガナイズも改善し、大々的なお披露目となった。
◆マーティン・ローズ
マーティン・ローズのショーは、ロンドン郊外のクライミングセンターが舞台。遠方にもかかわらず、多くのジャーナリストやバイヤーが集まった。自転車宅配便、ゴルファー、クライマー、さまよう人、そんなキャラクターからイメージしたコレクションは、鮮やかな色とボリューム感が特徴。大きく張り出したスクエアショルダーのジャケットに、カラーブロックのマウンテンパーカ。フリースのジャケットは、丸みのあるショルダーとボリュームが特徴だ。
ウエスト部分にポーチのようなアイテムをレイヤードしたり、ベルトを幾重にも重ねたりすることで、何かフェティッシュな要素も取り入れる。今の時代に大切なのは、スポーティーでリアルクローズであること。そして、そこにぐっと力強い何かを加えることができるか。マーティン・ローズの持つリアリティーと迫力のバランスから、そんなことを考えさせられた。
◆クレイグ・グリーン
クレイグ・グリーンはいまやロンドン・メンズのメインブランドの一つへと成長している。スクエアな布やカットアウト、ひもやノットといったディテールで独自のラインを作り上げたグリーン。春夏はそうした彼のオリジンを継承しながらも、新たに色柄とストリングスの使い方で新しさを出した。ショーの前半は組みひもとステッチワークを生かしたシャープなライン。これまでのボックスシルエットから一歩踏み出して、タイトなジャージートップにステッチワークや布を巻きつけて構築的なラインに仕上げる。
後半は彼らしいボックスシルエットやスクエアな布を垂らしたデザインだが、そこに変化をつけるのは立体的な布の作り方だ。フリンジのように布の端からひもが揺れるディテールは、実は布の中にひもを何本も通してステッチをかけて作ったもの。一見、キルティングやプリーツに見える立体感は、何本ものひもを布に通す手仕事によって作られる。そんな立体感のある生地に描くのは南国のビーチや鳥などの鮮やかな柄。これまでのストイックな雰囲気から、ぐっとポジティブで華やかなイメージへと変化した。
(写真=catwalking.com)