【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】17~18年秋冬ニューヨーク・コレクションに、メンズウェアの伝統的な素材を使いながらフェミニンなひねりを加えたスタイルが登場している。ヘリンボーンやハウンドツース、ガンクラブチェックといった生地が広がった。
■マイケル・コース 抑制利かせながら官能的に
ドラマチックな管弦楽団の生演奏をバックに、マイケル・コースは抑制を利かせた官能性を表現した。ヘリンボーン、ハウンドツースにウールメルトン、ギャバジン。メンズの伝統素材を使ってかっちり仕立てながら、部分的に素肌を見せることで艶っぽさを出していく。グレンチェックのドレスはキャップスリーブで、ロンググローブと合わせて二の腕を見せる。
チェックのスーツは丸みのあるショルダーとカッタウェーのディテールが特徴だ。ドレスもギャザーやスリットでフェミニンに。ニットドレスは深いスリットを入れ、ラメジャカードのドレスはウエストをたくし込んでドレープを流す。フォックスとミンクを使ってインターシャでレパード柄を描いたり、ビーズ刺繍でチーター柄をストレッチクレープにのせるなど、ラグジュアリー感たっぷり。「多様性」を強調したいと10代から40代までのさまざまな体形のモデルを起用、10人の母親モデルも選んだ。
■デレク・ラム
デレク・ラムは、わずかのメディアだけを集めてフロアショー形式で見せた。シンプルなカットとクリーンな色を組み合わせたコレクションだ。フラワージャカードのコートは長いリングベルトを垂らし、ジャカードのスーツはワイドパンツの量感を利かせる。タイトなセーターと合わせるのはフレアに流れるパープルのレザースカート。赤いレザートレンチコートは赤いシャツと合わせたワントーンのコーディネートだ。スタンドカラーのブラウスは小さなフリルが肩や襟にのせられる。クレープのブラウスはカフスにスタッズを飾り、スタッズ付きの小さなスカーフと組み合わせる。大きな折り返しのパジャマのようなドレープパンツ、くるぶし丈のギャザースカートも。
■トム・ブラウン
スケートリンクをイメージした会場で、トム・ブラウンはテーラードスタイルに焦点を当てた。グレーヘリンボーン、グレーのチェック柄、ファンシーツイードといった素材でジャケットやコートを仕立てる。ジャケットやコートは短めの袖丈で、そこから白いシャツのカフスを見せて着る。ボタンを刺繍して作ったハウンドツース柄やパッチワークで作るアーガイル柄など、手の込んだ素材もいっぱい。風景画を象眼で描いたアストラカンのコートなどゴージャスなアイテムも。足元はアイススケートの靴を模した変形ウェッジヒールのシューズでまとめた。
■アナ・スイ
アナ・スイはレトロなムードの漂うコレクション。パープル、ブルー、ボルドー、ブラウン。落ち着きのある色使いとベルベットやラメジャカードのクラシックな素材を組み合わせる。重厚な雰囲気にクロシェやレースの透け感を取り入れ、ラムファーやフォックスファーで動きを作る。花柄のシフォンブラウスやベルベットドレスもある。
■ヴィヴィアン・タム
ヴィヴィアン・タムは香港のナイトライフからイメージを広げた。箔{{はく}}ブルーのブルゾンなど大きなフォルムのトップが特徴だ。セーターやジャケットはショルダーにタックやフリルを飾ってボリュームを作る。プリントベルベットドレスなどに、香港の街並みのイルミネーションを思わせる鮮やかな柄をのせた。
(写真=マイケル・コース、トム・ブラウン、アナ・スイはcatwalking.com、ヴィヴィアン・タムはランディ・ブルック)