【ミラノ=小笠原拓郎、青木規子】17~18年秋冬レディスコレクションは、ミラノへと舞台を移した。ロンドンからミラノへ入って感じるのは、ミラノの物作りの確かさだ。ロンドンの持ち味は活気にあふれた若手のエネルギー。ミラノは物作りとそのクオリティーで真価を発揮する。ニューヨーク、ロンドンに続き、メンズの伝統的な素材や柄を取り入れたラインが目立つが、その落とし込み方はミラノがたけている。
グッチはメンズとレディスを合わせた119ルックを見せた。パープルのカーテンに包まれたショー会場の幕が上がると、メタリックカラーのピラミッドとそれを囲むように宙に浮かんで見える透明な通路が現れる。
トリミングジャケットに頭をすっぽり包み込むマスクのモデル、サテンのドレスのモデルは和傘をさし、プリントドレスのモデルはロゴ入りヘアバンドをして現れる。アレッサンドロ・ミケーレの持ち味の幻想的なスタイルのメンズとレディスが揃う。
クラシックにオリエンタリズムやスポーツを混ぜながら、そこにフューチャーリスティックな空気やアンドロジナスの要素を取り入れる。ラメドレスにはレザーの首輪、顔を隠すラメのマスク、チョウのプリントのメイドドレスや象眼で柄を描いた白いファーコート。ハンドテクニックを生かしたマキシマムでデコラティブなラインだ。
メンズは虫取り網を持ったオーバーオールスタイルにコウモリ柄のジャカードニット、AC/DCのロゴが映える赤いフォーマルスタイル。作り込みながらもどこかでくすっと笑ってしまう。ただ、このメンズとレディスを一緒に見せるという手法は、やはりコレクションを深く伝えるという点では難しい。服のディテールを丁寧に伝えることよりも、全体のイメージを発信するところにとどまってしまうようにも感じる。
(写真=大原広和)