17~18秋冬ミラノコレ、もこもこボリューム

2017/03/01 06:28 更新


 【ミラノ=小笠原拓郎、青木規子】17~18年秋冬ミラノ・コレクションは、数シーズン続くボリュームシルエットがより一層広がっている。ドロップショルダーのツイードジャケットにウールシャギーやボアのコート、パンツはたっぷりとしたワイドシルエットが増えている。カッティングによるボリュームと、もこもことしたテキスタイルが組み合わさって、温かみのあるシルエットに仕上がっている。

■マルニ

Marni / RTW AW17-18 MILANO

Marni / RTW AW17-18 MILANO

 マルニは新クリエイティブディレクターにフランチェスコ・リッソを迎えて、初めてウィメンズのショーを行った。多様性をテーマに、一人の女性のなかに存在する様々なイメージを表現した。冒頭に登場したのは、背中が丸く膨らむジャケットとストレートスカート。マルニにおけるトラディショナルを引き継ぐ意味で、立体フォルムを揃えたという。といっても、創業デザイナーのコンスエロ・カスティリオーニによるモダンアートのようなフォルムを引き継ぐのは難しい。

 独特なフォルムを洗練の域まで引き上げるにはもう少し時間がかかりそうだ。一方、パステルカラーのもこもこコートのシリーズは、色合わせや量感がバランス良く仕上がった。ビッグシルエットでありながら、フェイクファーやコーディングしたラムファーが全体を軽くする。コートのふわふわとした毛足と、ドレスのパラフィンのような質感もマッチしている。柄のシリーズは、レトロチェック、手描き風の花柄などをレイヤード。ラストのドレスにはCDをレーザーカットしたミラーパーツが飾られた。

 

■MSGM

MSGM/ RTW AW17-18 MILANO
 MSGMの会場は、ジグザグ柄のカーペットを敷き詰めた赤と青の空間。90年に始まったミステリーのテレビシリーズ「ツインピークス」からのインスピレーションで、どこか不穏なムードが漂う空間をしつらえた。並んだのは、様々な要素がぶつかり合うレトロなミックススタイル。今シーズンは特に、色合わせが強烈だ。ブルーベースの真っ赤なバラ柄やピンクとブルーの幾何学柄が、ランウェーのジグザグ柄と重なって、目がチカチカするほど。さらにスポーツやストリートテイスト、レース、フリル、タイポグラフィーが重なった。要素はいつもと同じだが、前シーズンまでのパワフルなカジュアルとは違って、エレガントに見える。バラ柄のノーカラーブラウスには膝下丈スカート、スカーフを頭に巻きつける真知子巻きが全体をぐっと上品に見せる。アウターはオーバーサイズのスタジアムジャンパーやスウェットパーカが揃った。

■サルヴァトーレフェラガモ

Salvatore Ferragamo Milan Womenswear Fall Winter 2017 Milan February 2017


 サルヴァトーレフェラガモは、ふんわりと温かみのある色にこだわった。ビュスティエ風に切り替えたタートルネックのニットドレスは、きれいなグリーンのワンカラー。レパードやゼブラ、花といった柄をブロック状に切り替えたニットドレスは、ライトグレーとベージュのさりげない配色が品の良さにつながっている。上品なナローシルエットのスタイルに、レトロスポーツの要素もプラス。ラグランスリーブのプルオーバーやスキーパンツなどがアクセントになった。コートやブルゾンは、大きく立ち上がる襟がポイント。

■アニオナ

AGNONA+FW+17_LOOK+4


 アニオナはプレゼンテーション形式で見せた。上質な素材と落ち着きのある色を組み合わせたコレクション。ダブルフェイスカシミヤやモヘア、チャンキーニットなどを、温かくミニマルな表現で見せる。ダブルフェイスカシミヤのケープにはプリントとプリーツのスカートをコーディネート。レザートリミングのセットアップは繊細なイメージ。カラーパレットは、キャメル、トープ、バーントオレンジ、アメシスト、ボルドー、ラストなど。

■マウリツィオ・ペコラーロ

Maurizio Pecoraro Milan Womenswear Fall Winter 2017 Milan February 2017


 マウリツィオ・ペコラーロは久々にランウェーショーを行った。登場したのはマスキュリンなパンツスタイル。「夫のワードローブを借りているような」オーバーサイズがほとんどで、大きなジャケットのウエストをリボンで絞り、布の中で足が泳ぐワイドパンツを組み合わせた。素材も温かそうなヘリンボーンやグレンチェック、ラージチェック、メランジュフランネルなど。さらにミドルゲージのカーディガンやファーブーツを組み合わせる。タイポグラフィーのステッチやパッチワークで遊び心をプラス。

■ジョルジオ・アルマーニ

Giorgio Armani Milan Womenswear Fall Winter 2017 Milan February 2017


 ジャケットやコートを軸にしたマスキュリンなパンツスタイルをいかに女性らしく見せるか。ジョルジオ・アルマーニの提案にはそんな意味合いがありそうだ。大きなフォルムを体に合わせるためにタックやギャザーを寄せて、少しだけ女性らしい雰囲気につなげている。ロングコートはウエスト部分にタックを寄せ、パンツの裾はボタンで絞ってジョドパーズ風に。リボン柄のグローブ、ビジューを飾った細身のパンツもある。小さいブリムのソフトハットを全ルックに合わせた。

(写真=大原広和)



この記事に関連する記事