【ロンドン=若月美奈通信員】17~18年秋冬ロンドン・コレクションにはブリティッシュチェックやテーラード、シャツといったマスキュリンな素材、アイテムが広がっている。ボリュームやフォルムの変化、スリットやカットアウトなど大胆なディテールを加え、フェミニンなアイテムに落とし込んでいる。
■クリストファー・ケイン
前シーズン、10周年を記念してデビュー当初のテクニックの再現などを見せたクリストファー・ケインは、メタリックな素材などシグネチャーの要素を継続しながらも次なる方向へと進み始めたようだ。ここ3シーズン前面に出していたリサイクルやDIYを念頭に置いたデザインにも終止符を打ち、よりシャープでエレガントになった。
花模様を浮かべたダマスク織のワンピースやスカートは、ジオメトリックな斜めのラインでフロントが交差する。玉虫に光るプリーツドレスはボンテージ風の黒いテープでボディーにフィットさせる。
セーターやテーラードコートの外袖にポケットを三つ並べて段々シルエットを描く、面ファスナーでニットの袖山がはがれる、フルレングスドレスをアメリカ人アーティストのイオネル・タルパザンが描くUFOが埋めつくす、チープなスポンジをシックなスリングバックシューズに挟み込むといった遊びも盛り込みながらも、物静かなフェミニティーが漂う。
「クラフト・アンド・ワーク」という今回のテーマは、工場で働く女性たちとそこで作られる服に敬意を表したもの。プレタポルテの概念を改めて見直すことで、混沌(こんとん)とした時代のリアリティーを模索しているのだろうか。
■マルケス・アルメイダ
マルケス・アルメイダのリアルガールたちは、極端にサイズの大きいテーラードジャケットやコート、シャツ、ワイドパンツといったマスキュリンアイテムを自由自在に着こなす。左右が白と黒で色違いになったテーラードジャケットはワンピースになり、だぶだぶのシャツの上にはバストラインを強調したコルセットトップを重ねる。そこにアシンメトリーヘムにラッフルを飾ったスカートなど動きのあるフェミニンなアイテムが加わる。前シーズンに続くくっきり太いストライプに加え、チェッカーボードチェック、オプティカルな大粒ドットといったモノクロのグラフィカルな柄が騒々しいスタイルに拍車をかける。
■マーガレット・ハウエル
マーガレット・ハウエルは初めてレディスとメンズを一緒に見せた。ナチュラルフィットのコートやジャケット、ネイビーやタバコブラウンのスタイルにアクセントを付ける鮮やかなマスタードイエローのマフラー、膝まで先が垂れるベルトやクラシックなサスペンダーなどの共通項だけでなく、もともとボーイッシュなレディスが得意のブランドとあって、しっくりと男女が交錯している。レディスでは前立てにぺしゃんこのフリル布を挟み込んだような装飾、ワーク風のエプロンが目を引く。
■ジョゼフ
ジョゼフはオーバーサイズ、アシメントリー、再構築といった前シーズンに続くキーワードを揃えながらも、しっとりとクリーンにまとめた。ジャケットのバックベルトが肩甲骨の位置にあったり、タペストリーのパンツスーツに合わせるシャツは前立ての布が余って浮き出ている。歪みとその絶妙なバランス感で見せるマスキュリンスタイル。
(写真=catwalking.com)