ワコールは、19年春夏物で56あった総ブランド数を21～22年秋冬物で37に削減し、特に九つの基幹ブランドに経営資源を集中する方針を掲げた。頂上に位置するプレステージ商品として、21年秋冬物から百貨店中心にデビューしたのが「ユエ」。商品、売り場、接客、デジタル戦略などの各面で、新時代の〝個客〟に向き合うワコールの戦略を象徴するブランドとなる。
（山田太志）
消費者の購買行動や価値観の多様化、流通構造が大きく変わるなか、大型商品を数多く販売するのは難しい。各基幹ブランドで「お客様と深く広く長くつながる」ことを掲げているが、特にプレステージゾーンの消費者の目は厳しい。
「品質の高さは大前提。それ以上に、心地良さや美しさ、生活の豊かさなど、『この商品は自分に何をしてくれるのか』という明確な理由を求め始めた」と東田幸宏プレステージ営業部東京営業課長は、コロナ禍後の変化を強調する。ブランド名は、人や物事の関係や理由を表す「由縁」から名付けた。また、従来なら「ワコール」ブランドの傘の下で、「ワコール・ユエ」とするのだが、単に「ユエ」としたのも新しい挑戦。接点の無かった新しい顧客を開拓するという強い思いを込めている。
