東レの遮熱性、遮光性、紫外線カット性を備える生地「サマーシールド」が順調に販売を増やしている。優れた機能性と近年の猛暑を背景に、百貨店を主販路とする女性向けの晴雨兼用傘用途で根強いリピート需要がある。実用性の高さに対して売れている市場が限られていることから、ブランディングの強化による認知度の向上と用途開拓に力を入れていく。
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サマーシールドは、特殊な3層構造で紫外線や赤外線を高いレベルで遮蔽(しゃへい)する。一般的な日傘は表地に黒のラミネートやコーティングを施すが、サマーシールドは2層目に酸化チタンを高濃度に含有した白色層、3層目(傘の内側)にカーボンブラックを含有した黒色層を貼り合わせた構造が特徴。白色層は赤外線を、黒色層は紫外線を防ぐ。紫外線遮蔽率は99.9%以上という。
同社調べでは、国内の日傘市場が年間で約400万本。このうちの約10%がサマーシールドを用いた日傘とみている。厳しい暑さを背景に「日傘の需要は年々拡大している」と中園真介スポーツ・衣料資材事業部部長。25年春夏の売り上げは前年同期比10%増。来年の春夏の受注もさらに10%増という。
今後も日傘用素材のシェア拡大を目指す。第一にブランディングの強化を掲げる。高い機能性を体感できる機会を設けるなど「(猛暑でも)『サマーシールドだから大丈夫』と認知を広げていきたい」と話す。ゴルフや登山、キャンプなどのアウトドア、スポーツ観戦など暑熱リスクが高いとされる場面を想定し、日傘をはじめ、帽子、テント、タープなどの用途提案にも力を入れていく。
このほか、シェア拡大の一環としてサマーシールドの技術を応用した素材で量販店向け日傘用素材の需要もつかみたい考えだ。サマーシールドは国内生産だが、応用素材はゆくゆく中国で生産して拡販を狙う。