20日から東コレ シーナウ、バイナウどうする? 

2017/03/17 06:30 更新


 「アマゾン・ファッション・ウィーク東京17年秋冬」が20日、開幕する。ここ数シーズン、世界中でファッションショーの在り方が揺らぎ、ショーで見せた商品をすぐに売る「シーナウ、バイナウ」の試行錯誤も広がっている。

 今季は東京でも、ショーの仕方に関する模索や新しい挑戦が広がりそうだ。

(五十君花実)

 「我々としては、技術的にいつでもシーナウ、バイナウを始めることができる」と話すのは、アマゾンジャパンのジェームズ・ピータース=バイスプレジデントファッション事業部門部門長。

 同社は先シーズンから、東京のファッションウィークのメインスポンサー。「シーナウ、バイナウは今後さらに広がっていく可能性がある」としつつ、「現行シーズンの商品を見せるか、半年先の商品を見せるかはブランド側の自由。我々の仕事は、ブランドと消費者にやり取りの機会を提供すること」と続ける。

「ブランドと消費者にやり取りの機会を提供する」というアマゾンジャパンのジェームズ・ピータースバイスプレジデント

■待望のEC連動

 今季はウィークのサポートプログラムとして、同社のECプラットフォームと連動した〝アットトウキョウ〟を立ち上げた。ECとの連動は、同社がスポンサーに決定した時から期待されていたもの。同プログラムで、これまでウィークに参加経験がない3ブランドが、ショーやイベントを行う。

 DJマドモアゼルユリアによるエッジーなカジュアル「グローイングペインズ」、下中美穂子が手掛けるバロックジャパンリミテッドの大人向けエレガンス「ハウスコミューン」、渡辺真史がディレクションするメンズ中心の「ベドウィン&ザハートブレイカーズ」だ。

 「参加してこなかったブランドが参加することで、ウィークを拡大できると考えた。他の小売店とは違い、アマゾンの顧客対象には制限が無い。あらゆる層が対象なので、異なる個性のブランドを選んだ」という。

 ここ数年、東京のウィークの課題として「実際に売れていたり、人気のあるブランドが出ていない」「華やかさに欠ける」などが挙げられてきた。ピータース=バイスプレジデントは、「既存のウィークでは何かが不足していたわけではない。より良くするためにプラスするという発想で企画した」と強調するが、これまでの課題にも応えられそうなブランド群だ。

 3ブランドのECは既にスタートしている。10日、アマゾンのサイト内に〝アットトウキョウストア〟を立ち上げ、17年春夏の商品や、アマゾンで扱いがある各デザイナーのお気に入り書籍や日用品を掲載している。ショーは17年秋冬を見せるため(ベドウィンは一部春夏も含む)、シーナウ、バイナウにはならないが、それは「ブランド側の自由」だ。


アマゾンがサポートする“アットトウキョウ”でショーをする「ハウスコミューン」

■成功例もあり

 ウィークの関連イベントとして今季からスタートする「トーキョーボックス・ボリュームゼロ」では、まさにシーナウ、バイナウが行われる。手掛けているのは、神戸コレクションや東京ランウェイに携わってきた平藤真治アイグリッツ社長。

 「神コレスタート時に熱狂した消費者は大人の女性になっている」として、大人を満足させる小規模で特別感のあるショーを行う。ママ客も想定し、託児サービスも用意した。

 「ダイアン・フォン・ファステンバーグ(DVF)」「フレイアイディー」が、新宿のニュウマン内にあるイベントスペース、ルミネゼロで春夏のショーをする。「FRESH!」で動画配信するとともに、ニュウマンのデジタルサイネージ(電子看板)で通行客にも発信。DVFはECも同時連動し、フレイアイディーもショー後あまり間を置かずECで買えるようにするという。

 同イベント内で、「アウラ」も17~18年秋冬のショーを行う。「今はファッション消費にヤマがなくなっている。ショーで『今買おう』という気持ちを刺激してヤマを作ることができれば、シーナウ、バイナウは一気に広がる」と平藤社長は見る。

 ウィーク初参加のアダストリア「ハレ」も、ショーで一部春夏物を見せ、シーナウ、バイナウを狙う。「エックスガール」(ビーズインターナショナル)は、東京・原宿の旗艦店で2月に春夏物のショーを開催。自社ECサイトなどで動画配信して、4時間で1600万円売り上げた。このように、シーナウ、バイナウの好調な例も表れており、今後もSPA(製造小売業)ブランドを中心に模索が続きそうだ。



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