そうめんやうどんに比べひやむぎは話題になる機会が少なく、アジフライも定番だが、主役になりきれない存在だ。しかし、こうした「目立たない一品」に焦点を当てた専門店が人気を集めている。
触感や味わいの違い
東京・錦糸町のひやむぎ専門店「特選ひやむぎ・きわだち」は、全粒粉を使った自家製麺に、トッピングでトレンド感を出し、ひやむぎの新たな魅力を提案する。店主は、ひやむぎの魅力を広めるには専門店という形で目立たせるのが適していると考えたという。
そもそもそうめん、ひやむぎ、うどんは基本的な素材は同じで、麺の直径によって名称が区別される。そうめんは1.3ミリ未満、ひやむぎは1.3ミリ以上1.7ミリ未満、うどんは1.7ミリ以上となる。ひやむぎも、専門店で改めて向き合えば、その食感や味わいの違いに気づくことができる。
東京・門前仲町のアジフライ専門店「てしお」も、アジを主役にした店だ。店主は元すし職人の目利きと丁寧な下処理に加え、開かず切り身の形で肉厚にカットしたアジフライを提供。揚げたてを食べてほしいと2貫(この店ではすしのように貫で数えている)ずつ出している。一般的なアジフライとは異なる食感と、専門店ならではのこだわりで価値を高めている。
ヘルシーなイメージ
そして、抹茶に続いて注目されているのがほうじ茶だ。京都の「中村藤吉本店」では、抹茶とともにほうじ茶スイーツも充実し、インバウンド客から人気を集めている。カフェインがコーヒーより少なく、ヘルシーなイメージがあることも追い風となっている。
これらの共通点は、①昔から親しまれている定番である②嫌いな人が少なく万人受けする③改めて注目されることで「おいしさ」に気づく④どこかほっとする味わい⑤ヘルシーな印象がある⑥店主のこだわりや個性を打ち出せる点だ。
長く定番料理として「名脇役」だったからこそ、飽きにくく、なくてはならない存在でもある。物価高や先行き不透明な時代には、デカ盛りや背徳グルメ、激辛など刺激を求める傾向もあるが、一方で、「安心したい」「ほっとしたい」というニーズもある。
ラーメンよりひやむぎ、トンカツなどの肉系揚げ物よりアジフライなどヘルシーイメージの料理であることも共通している。例えばアジに限らずエビフライ、野菜揚げ、厚揚げなどの揚げ物も「主役」になる可能性はあるだろう。
なじみのある味を、専門性や個性、こだわりによって、客に再確認させられれば、「目立たない料理」は、売り上げ貢献に導く料理になるかもしれない。
(日本食糧新聞社/トータルフード・小倉朋子)
