22年春夏向けピッティ・イマージネ・ウオモ 昨年1月以来のリアル展

2021/07/02 06:26 更新


 【フィレンツェ=高橋恵通信員】伊フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソ国際見本市会場で6月30日、22年春夏向けメンズ見本市「第100回ピッティ・イマージネ・ウオモ」が開幕した。会期は7月2日までの3日間で、従来よりも1日短縮した。22年春夏向け子供服の見本市「第93回ピッティ・ビンボ」も、同会場で同時開催となった。

 コロナ禍のため、ピッティ・ウオモは2回にわたりデジタル開催を余儀なくされた。リアルでの開催は昨年1月以来となり、会場には再会と再出発を喜ぶムードがあふれた。その一方で、新型コロナウイルス対策も厳しく行われている。伊政府の定める新型コロナ感染防止プロトコルに従い、会場入口では検温のほか、ワクチン接種済証明、6カ月以内の新型コロナ完治証明、48時間以内の陰性証明のうち、いずれかの提示が求められる。会場内には、無料のPCR検査場も設けられた。

 今回の参加ブランド数は338。19年6月の春夏向けリアル展開催時の1220ブランドと比べると3割にも満たないが、ラファエロ・ナポレオーネCEO(最高経営責任者)は「再出発を象徴する重要な見本市であり、リアル出展した企業のポジティブに未来を捉える姿勢は今後のファッション産業の原動力となる」としている。

 また、リアル出展ブランドはデジタル版見本市「ピッティ・コネクト」にも自動的に出展するが、デジタル版のみに出展するブランドが57あり、リアルとデジタルの出展者合計は395ブランドとなった。そのうち28%が海外からの出展だ。

 会期中には、スペシャルゲスト・デザイナー、テベ・マググの特別イベント、LVMHヤングファッションデザイナープライズの映像上映、新進サステイナブル(持続可能な)ブランドを紹介するイベント「サステイナブル・スタイル」など、少数ながら会場内におけるイベントも企画されている。

 初日にルネサンスを象徴するヴェッキオ宮殿で行われたオープニング式典では、ジャンカルロ・ジョルジェッティ経済発展大臣が「今回のピッティはファッションと見本市が協力し、我々の再出発とルネサンスを象徴するもの。ファッションは、イタリアの美の大使であると同時に、800億 ユーロ の売り上げを誇り、伊製造業の12.5%を占める重要な産業」と、脱コロナ期の伊におけるファッション産業の重要性について語った。政府は、同産業における循環型経済、模造品対策、人材育成などのプロジェクトを推進する。

 ピッティのクラウディオ・マレンツィ会長は、政府の支援に感謝を示すと同時に、「我々の熟練の労働の維持によってのみ再出発は可能となる」と、ファッション業界が受け継いで来た熟練の技や惜しみない労働の価値を再確認した。

7月2日まで3日間の開催


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