日本ダム、デジタルプリントに参入 多用途と環境低負荷を訴求

2025/05/21 06:26 更新NEW!


白インクを搭載し濃色生地でも色鮮やかなデザインに仕上がる

 ブランドラベルを主力とする日本ダム(福井市)がデジタルプリント事業に乗り出す。導入したプリンターはあらゆる素材に印刷可能なコーニット製の水系顔料インクジェットプリンター「プレストマックス」。白インクを用いて黒や紺などの濃色生地でも色鮮やかなデザインに仕上がるほか、0.8ミリの厚みまで立体的なプリントもできる。前後処理設備が不要で、従来の工程と比べて環境低負荷な点も訴求する。同社はアパレル、雑貨、カーシート、インテリアといった様々な需要を探る。

 同社は織ネームなどのブランドラベル以外に付加価値を提供できる新規事業を模索するなか、昨年末にプレストマックスを導入した。従来は生地にインクを塗布と定着しやすくするため、前処理に加えてプリント後に蒸したり、柔らかくしたりするなど様々な処理が必要だ。工程によっては輸送も伴う。プレストマックスは特殊な助剤「デュオソフト」によって前後処理が不要。プリント後は乾燥すれば完了する。

 白インクは濃色生地にプリントしたい場合のほか、立体的に仕上げたい場合にも活用する。白インクはカラーインクよりも高粘度のため、白インクを積層してベースを作り、その上にカラーインクがプリントされ立体的な表現ができる。50メートルの生地に立体プリントをする場合、プリントから乾燥まで5時間程度で印刷できる。カラーインクだけなら1時間程度で済む。

最大で0.8ミリの厚みまでインクを重ねて立体的な表現も可能

 プレストマックスを活用した事業は、二酸化炭素の排出量や製造・廃棄ロスなどの削減に取り組む企業方針にも合致する。環境負荷を抑えながら、デザインの自由度が高い同設備を活用し、「環境意識が高く、商品のオリジナリティーを追求したい企業に提案したい」(営業部営業開発担当の清水哲聡部長)考え。年間の目標数量は3万メートルとする。

デジタルプリント事業にチャレンジする営業部営業開発担当の清水部長(右)と商品開発部の北嶌係長

 同社によると、デザインデータの作成や、プリントの設定に知見・ノウハウが必要な上、プリントする生地の特性も理解しなければ「同じデザインでも仕上がりが大きく異なる」(商品開発部の北嶌昭典係長)と指摘する。プレストマックスの特性を十分に発揮するためには、オペレーターが習熟度を高めなければならないが「それが優位性になる」とも強調した。



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