三山 自社製品ブランド「パングラフ」を始動 アップサイクル糸で協業広がる

2023/10/31 06:25 更新


製品ブランド「パングラフ」の第一弾となる「腕まくりがきれいにキマるニットウェア」

 縫い糸、ニット糸主力の三山(大阪市)が独自素材を活用した製品ビジネスを始めた。自社ブランドの企画・販売だけでなく、他社の製品ブランドや小売業の物作りに直接携わるケースも増えている。

 新たに立ち上げた自社製品ブランドは、「パングラフ」と名付けた。素材特性を理解する原料商の強みを生かし、「製品作りを本気でやる」と意気込む。マーケティング、販売はクラウドファンディングを活用する。

 第1弾は、袖をまくり上げてもずり落ちにくいニットプルオーバー(税、送料込み1万4300円)を企画した。糸は同社の「ベントスパイラル」を採用。ベントスパイラルはPBT(ポリブチレンテレフタレート)繊維を使った特殊紡績糸で、伸縮性や通気性、吸水速乾性、抗ピリング性、耐摩耗性を備える。袖口には適度なキックバック性を持つゴム糸を使った。縫製糸も同社のロングセラー静電気軽減糸「エレカット」を採用した。

 応援購入サービスのマクアケで9月~10月中旬に、プロジェクトを実施した。目標金額30万円に対し、総額63万円の購入があった。次回は11月を予定する。

 製品ブランドや小売業との取り組みは、アップサイクル糸「ワックス」がきっかけだ。ワックスは奈良県の靴下産地で廃棄されていた繊維の端材やB品などを三山が買い取り、反毛して再び糸を作るプロジェクト。6月には10色が揃い、本格販売を始めた。

採用事例が徐々に出てきた「ワックス」。定番で10色を備蓄販売している

 プロジェクトの意義に賛同したアパレルメーカーのジコン(東京)がテレビドラマシリーズ『北の国から』と協業したコレクションのニット帽や、「ニューオーダー」のTシャツに採用した。セレクトショップのユエン(大阪市)が販売する「コモディティーズ」の靴下にも採用された。

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