【パリ=松井孝予通信員】フランス株式市場で9月中旬、上場企業の時価総額首位が交代した。化粧品世界最大手のロレアルが15日の終値で、ラグジュアリー世界最大手のLVMHを抜いた。時価総額はロレアルが約2030億ユーロ、LVMHが約2010億ユーロ。ラグジュアリーグループ以外が首位に立つのは17年以来となる。
今年に入ってからの株価は、ロレアルが約5%上昇したのに対し、LVMHは約35%下落。また同日時点で、欧州企業の時価総額上位10社からも外れた。ラグジュアリー市場では、中国の景気低迷や中東情勢が重荷となっている。相次ぐ値上げでバッグやウェアが手の届きにくい水準となり、米経営コンサルティング会社ベインの25年調査では、ラグジュアリー市場の顧客数はこの3年間で約7000万人減った。
LVMHの26年上期売上高は既存ベースで2%増えたものの、市場はラグジュアリー需要の本格回復を慎重に見ている。一方、ロレアルの同期売上高は調整後の既存ベースで6.5%増、高級化粧品部門も5.1%伸びた。同社は「サンローラン」や「プラダ」などのビューティー事業を手掛け、仏ケリングからビューティー部門を取得した。「グッチ」をはじめケリング傘下メゾンとの長期提携も進める。
両社の株価の差については、景気が減速すると口紅など比較的手頃な商品が選ばれる「リップスティック効果」が指摘される。ロレアルは大衆向けから高級化粧品、皮膚科学的美容、美容室向けまで、価格帯、販路、顧客層が幅広い。今回の首位交代は、両社の事業構造と今後の成長に対する市場の期待値も映している。