シューズメーカーの戸田健太が代官山で個展 スニーカーを肉食主義に重ねる

2024/08/29 15:00 更新


豚、牛、羊、鶏の革をベースにそれぞれの干し肉で装飾したスニーカーの作品

 シューズメーカーとして活動するアーティスト、戸田健太の個展「PROCESSED MEAT SHOP」が、代官山のセレクトショップ、カーブストアのギャラリーで9月2日まで開かれている。現代の消費社会を象徴するスニーカーを、人類に備わったカーニズム(肉食主義)に引き付けて表現した作品を展示する。

 「スニーカーが資本主義の中で生まれたカルチャーであることに疑問を抱くようになったのが(創作を)始めたきっかけ。付加価値の高いスニーカーは、劣化を防ぐためにラップに包んで保存したり、新品のソールを舐めてアピールしたりする人がいる。希少なモデルは高値で取引され、取り合いにもなる。そういったことが、古来の人間の食肉に対する行為とほとんど変わらないと感じ、『食』と『物』の境界を崩して消費文化を問い直そうと考えた」と戸田は話す。

劣化を防ぐためにラップで包んで保存する共通点を表現した作品も

 学生時代からスニーカーが好きで、ミシンを使ってカスタムメイドするようになったが、ある時、「ハイプ至上主義などと言われていることに違和感を覚え、自分がやってきたことは消費に過ぎないと気付いて絶望した」。そこから表現する活動へと転じた。

 展示する作品は、干し肉を材料の一部に取り入れたスニーカーだ。ビンテージのレザー製品に蓄積されたしわや傷、変色を「エイジング」と捉える価値観も食肉に重ね合わせた。牛革を使ったスニーカーには裁断したビーフジャーキーを、ピッグスキンのスニーカーにはポークジャーキーを装飾として縫製し、「調理」と「縫製」のプロセスを混在させている。

ラムジャーキーを縫製したモチーフを付けたラム革のスニーカー。とても柔らかな履き心地


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