アーティストの田名網敬一は、60年以上にわたる創作活動を振り返る大規模回顧展「田名網敬一 記憶の冒険」を国立新美術館で開催中だ。60年代に制作した初期の作品から、初公開の最新作まで膨大な作品が並ぶ。11月11日まで。
会場は、絵画、コラージュ、立体作品、実験映像、インスタレーションなど約500点の作品で埋め尽くされている。その多くが極彩色。アメコミタッチのアニメーション、裸体のピンナップガールを散りばめたコラージュなど、作品はどれもポップなのにどこか切ない。その背景には幼少期の戦争体験がある。
空襲で燃え盛る街、旋回する爆撃機、焦土と青空のコントラスト、倒れた女性の青白い肌。生と死が隣り合わせにある強烈な記憶を、多くの作品に垣間見る。展示の冒頭の新作「百橋図」は、「聖なるものと俗なるもの」をつなぐものの暗喩として、太鼓橋を積み上げている。
「プラダ」や「アディダス」などの有力ブランドと取り組んできた経歴を持つアーティストでもある。今回も展覧会を記念して、アディダスや「ニューエラ」「ビームス・カルチャート」との協業コレクションを販売している。そのほかTシャツやトートバッグ、刺繍ワッペンも並ぶ。