【パリ=松井孝予通信員】仏ケリング傘下「グッチ」は11月23日、クリエイションディレクター(CD)のアレッサンドロ・ミケーレの退任を発表した。ミケーレは「それぞれが描く将来像の違いにより、歩む道が分かれる時がある。私が愛とクリエイションへの情熱を捧げてきたグッチでの20年の旅は終わる。グッチは私の家、第二の家族だった」と語った。
グッチのマルコ・ビッザーリ会長兼CEO(最高経営責任者)は「ミケーレのグッチでの20年間、この類いまれなメゾンのCDとしての彼のビジョン、献身、絶対的な愛に感謝している」とし、ケリングのフランソワアンリ・ピノー会長兼CEOも「この数年間、アレッサンドロと共に歩んできた比類のない道程は、グッチの歴史に特別な時として刻まれるだろう。グッチでの冒険に彼の流儀で全力を注いでくれたアレッサンドロに感謝している」と敬意を表した。ミケーレの後任が決まるまで、グッチのデザインオフィスがコレクション制作を続ける。
ミケーレはフリーダ・ジャンニーニの後継として15年1月にCDに就任。グッチのサボワール・フェール(匠の技)と歴史を現代に映したミケーレのコレクションは、グッチの売上高を14年の35億ユーロから21年に97億ユーロ(前年比31%増)へと導いた。グッチはケリングの総売上高の約55%を占める。コロナ禍後、「サンローラン」「ボッテガ・ヴェネタ」「バレンシアガ」など同グループの他のブランドが勢いづいたのに対し、グッチの成長は主力市場の中国のゼロコロナ政策が重荷となり、今年に入り成長速度が急低下していた。