震災から5年、被災地の若手経営者㊦

2016/03/17 14:44 更新


南相馬のアーティジャングル ファッション発信街に


 福島県南相馬市から発信するレディスブランド「アーティジャングル」は昨年12月、創業から10周年を迎えた。「過剰なものを取り払い、100年着られる服」をテーマに、平面的でストレスフリーなデザインが特徴だ。同県出身のデザイナー、宮森佑治さん(33)の物作りが共感を呼び、専門店を中心に販路が広がっている。


物作りにこだわり

 昨年は阪急うめだ本店10階の「うめだスーク」で販売がスタート。高島屋新宿店と愛媛のいよてつ高島屋でも期間限定店として出た。

 宮森さんは「市内のショップ兼アトリエで10周年イベントを開催したこともあり、市内のお客様にも注目された。『大変ななかでブランドとして10年も続けてすごいね』と励まされています」とほほ笑む。

 震災から復興へと歩む南相馬市での物作りにこだわりがある。夢は、地場の縫製業者らとともに、デザイナーの起業を支援する〝ファッションビレッジ〟を作ることだ。


シェア工房スタート

 その実現に向け、シェア工房を今春からスタートした。〝服作りに必要なことは全てあります〟をうたい文句に、自社アトリエをレンタルする試みだ。工房では薄地からデニムまで縫い込める工業用直線縫いミシンがあり、アイロン台は広くて強力スチームのアイロンが使える。裁断台、各種トルソーはもちろん、生地や服の保管サービスも行う。工房と併設のショップはショールームとしても活用できる。

 宮森さんは「周辺には国産の物作りを支える縫製工場が多い。シェア工房には趣味で服を作りたい方から、自らのブランドを立ち上げたい方まで多くの人々に訪れてほしい。そして、南相馬をファッション発信の街にしたい」と話す。

 

地域とともに歩み続け、ブランドを発信する宮森佑治さん



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