欧州繊維産業連盟(EURATEX)は、欧州委員会(EC)が発表した「EU(欧州連合)サーキュラーエコノミーアクションプラン」(循環経済行動計画)について歓迎する意向を示した。EURATEXは「実行可能で持続可能なソリューションを含む包括的な戦略を既に策定している」と独自の活動をアピールするとともに、「循環経済をより効率的に実現させるためにECのイニシアチブに期待する」とコメントした。
その上でEURATEXは、「繊維製品を再利用する市場を創る必要がある」と強調。今後、循環経済行動計画の推進に向けたポイントを挙げた。一つ目は、欧州の繊維・アパレル業界の99%が中小企業であり、「環境に配慮した高付加価値の製品やソリューションを開発するにあたって資金が不足している」ことなどを考慮し、「中小企業の負担が大きくならない法的枠組みが必要」という。
二つ目は、使用済みの衣類や繊維生産のリサイクル事業を行う企業が最適な循環プロセスを構築しやすいよう「市場の近隣にリサイクル施設を持つべき」と提案した。三つ目は、「グリーン公共調達を増やすこと」とし、EU当局に対して「高品質、高耐久の製品、環境負荷の少ない製品、再利用可能または生分解性素材で生産された製品を優先して調達することが企業の循環型投資を増やすことになる」と指摘した。
循環経済行動計画は3月11日に発表された。「50年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする」ことを柱として、ECが昨年末に発表した気候変動対策「欧州グリーンディール」に基づくもの。分野ごとの行動計画も策定され、繊維分野についても触れられている。
日本化学繊維協会が発行する「海外速報」によると、「化学物質管理の仕組みの整備」「循環型繊維製品の開発のための事業環境の改善」「25年までに高レベルの分別収集を達成するためのガイダンス提供」「繊維製品の3R(リデュース、リユース、リサイクル)の促進」「拡大生産者責任のような規制措置の奨励」などが掲げられているという。