チャンピオン「CPFU」×ゼビオ SCで大人の部活!

2018/04/30 04:45 更新


《販売最前線》チャンピオン「CPFU」×ゼビオ SCで大人の部活! トレーニングをライブエンタメに

 トレーニングをライブイベントにして、スポーツへの敷居を低く――ヘインズブランズジャパンは昨年から、「チャンピオン」の新トレーニングライン「CPFU」で、スポーツ小売り大手のゼビオと共同開発したスポーツイベントを開いている。舞台はモール型のSC。多くの来館者が集う共有スペースで、ワークアウトやヨガ、ランニングに汗を流すという企画だ。ブランド、スポーツ店、館の三者が一体となり、スポーツへの関心を高め集客を促す取り組みとして注目できる。

(杉江潤平)

 「正確に速く!」「自分の限界に挑戦して!」。2月25日に鹿児島市のSC、オプシアミスミで開催されたCPFUと「スーパースポーツゼビオ」(SSX)の協業イベントでは、マイクを付けた講師が約30人の参加者を鼓舞していた。

トレーニングイベントの会場は視線が集まりやすい吹き抜け空間を使う(写真は鹿児島市内のSC、オプシアミスミ)

 バトルロープやケトルベルを使った筋力トレーニング、キックボクシングといったワークアウトメニューは、見ているだけで辛そう。この日、ゲストとして参加していた金田朋子さん(声優・タレント)らの必死な姿に、ギャラリーからは声援や笑いが起きた。

メニューはキックボクシングなどややきつめ。CPFU側はアスリートタレントらをゲストに招き、話題を振りまく

ギャラリーからは参加者に声援も

ゲストらと触れ合えるのも魅力の一つ

 このイベントは1回あたり約90分で1日2回催している。対象はスポーツ初心者。参加費は無料で、CPFUのウェアを無料貸し出しするが、シューズは持参するのが条件だ。

 オプシアミスミでのコンテンツは、ワークアウトと館周辺を走るランニング、呼吸や姿勢を改善させるピラティス。ステージに講師が立ち、MCのように場を盛り上げながら、館内に一体感を生む。

ワークアウトのトレーナーはマイクを使って参加者を鼓舞していた

 見ていた人のなかには「飛び込みで参加したい」と、ゼビオの店でシューズを購入して加わった人も。「体を鍛えようと思っていた矢先にこのイベントを見ることができた。ワークアウトは集団でやったほうが面白そう」という観客もいる。

 このイベントを発案したのは、チャンピオン側だ。16年春にデビューしたCPFUは、競技や勝負にこだわらずにライトにスポーツを楽しむ層がターゲット。日ごろ買い物に来る場で「ジムでやっているようなトレーニングを見せられれば、スポーツを身近なものに感じてもらえる」(ヘインズブランズジャパンの竹内大介マーケティングサービス部マネージャー)と考えた。

 複合的な要素を備えた体験イベントを模索していたゼビオとしても打ってつけの企画だった。ゼビオグループのマーケティングを担い、このイベントの実現に関わったクロススポーツマーケティングの篠宮尚徳アクティベーションチームマネジャーは、「野球教室や選手のトークショーといったメーカー発の従来型イベントは、特定のジャンルに限定されており物足りないと感じていた」。SSXが5年ほど前から始めたランニングコミュニティー「ランニングユナイテッド」(会員数約1万5000人)とCPFUの企画が連動できれば、双方の価値がさらに高まると判断した。

 その結果、スタジオなどとのパイプを持つCPFUがワークアウトやヨガなどのインストラクターとゲストを手配し、ランニングの講師起用をゼビオが担うことになった。開催場所は両者で候補を選定し、該当店の店長らがSCの担当者と折衝する段取りだ。

プログラムの最後はピラティスでクールダウン。当日、参加者が使うウェアはCPFUが無料で貸し出した

 イベントを実施したSCはどこも協力的。集客や滞留時間増につながるため、スペース代や音響設備なども無償だった。年末に打診され、すぐに開催を決めたオプシアミスミの愛甲健副支配人も、「アーティストのライブショーなどは、どうしても〝一方通行〟になりがち。今回のようなスポーツイベントなら、来館者自身が体を動かすので記憶にも残りやすく、買い物以外にも楽しめる場として館が認知される」と話す。

 肝心の販促効果はどうか。参加者には、着心地や使い勝手を肌で感じる機会になっている。口を揃えていたのは、「激しい運動で汗をかいてもすぐに乾き、軽い」こと。開催当日は小雨が降っていて、アウターの撥水(はっすい)性を実感した人も多かった。

 物販でも際立つ効果が得られた。イベントには毎回、SSXの店員も参加しており、「CPFUの良さや世界を実感する機会になっている」(クロススポーツマーケィングの篠宮氏)。イベント後の接客で販売トークに生かすこともできる。イベントを実施したSSXのチャンピオンブランドの売り上げは、前年比2倍前後に伸びている。

 こうした成果を踏まえ、チャンピオンとゼビオは今後も協業してトレーニングイベントを開催する方針。昨年は4回開いたが、今年はさらに多くの場で実施する計画だ。


■竹内さんの話


 スポーツブランドの商品やマーケティングを見ていると、エリート向けばかりです。マーケットを広げるにはもっと広い層にスポーツを身近に感じてもらわないといけません。トレーニングをライブイベント化したのは、そんな思いがあったからです。スポーツに対する心理的な垣根を低くして、参加を促したい。ライブ化は周囲から視線が集まり、トレーニングの様子が分かるモール型の環境が前提。プログラム構成では、コンテンツ自体に楽しさや参加者同士の一体感が生まれることを重視し、「大人の部活動」になるよう工夫しています。


■CPFU

 チャンピオン・フィジカル・フィットネス・ユニフォームの略。16年春にスタートしたチャンピオンのトレーニングライン。ミリタリー調のカラーリングが特徴。疎水性や吸放湿性に優れた素材、脇の縫製をなくした構造など、機能面にも配慮している。




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