文化服装学院ファッション流通専攻科は3月、同科での学びの集大成として学生が企画運営、演出などを手掛ける卒業制作ファッションショーを東京都渋谷区の宮下公園で開いた。「渋谷カルチャーの拠点として、若者が夢を発信する晴れ舞台を作りたい」と公園側が主催したイベントの一環で実施。同校の在校生と卒業生による16ブランドが参加して2日間で4回のショーを行い、感染対策を徹底しながら毎回満員の状態で、合計820人が来場して盛況だった。
今回のショーは専攻科最後の課題で同科の学生5人が企画を担当し、12月に会場探しから開始。外部イベントで久々に対面でショーが開催できることになり、「ファッションを通して様々な人が出会い、交流を深める場を作りたい。3年間で培ったショーの企画や製作指揮を行う力を生かし、学内中心に探したブランドの魅力を引き出し、新しい才能を学外に発信するショーにしたい」と企画を練った。
各ブランドの個性で色付けし、1枚の絵としてショーを作り上げたいとの思いを込め、「キャンバス」と題したショーには、アパレルデザイン、技術、ニットデザイン、高度専門士科など10以上の学科や専攻の学生と卒業生が参加。運営は学生が広報4人、1、2年生も含めてフィッター40人、メイク27人、音響効果、会場各13人、モデルは外部も含め91人で分担。各パートで連携し、臨機応変に対応できるように準備を進めた。本番ではカラフルなニットやきもの風のドレス、ワークやモードのリアル服からコスチューム系、ホームレス風レイヤード、スカートやドレス姿の男子など、多彩なテイストのブランドが次々に登場。屋外の会場のため昼の回は太陽の光を生かしたナチュラルな演出で服の良さを引き出し、夜は各ブランドのコンセプトが伝わるように照明を工夫し、昼と夜で異なる表情が楽しめる演出が好評だった。フィナーレでは、キエフ出身のメンバーがいる卒業生チームは、「ノーウォー」などと書いたプラカードを掲げてランウェーをかっ歩。ロシアのウクライナ侵攻への抗議と、未来を再生する若者として自ら行動する意志を示し、会場から共感を得ていた。