アツギ 5月にアツギ東北の生産終了 ストッキング需要急減受け中国工場へ生産移管

2022/01/21 09:45 更新


 アツギは1月20日の取締役会で、国内生産子会社であるアツギ東北の生産を5月末をめどに終了し、中国に持つ煙台厚木と厚木靴下煙台の2工場に生産を移管することを決めた。アツギ東北の従業員約610人は、労働組合との協議を経て詳細を決める。今後、特別退職金支払いなどによる特別損失を見込むが、金額および業績への影響は精査中だ。

 創業以来、ストッキングを主に国内でも強い生産基盤を誇ってきたが、長年におよぶパンスト需要の伸び悩みに加え、特にコロナ禍におけるインバウンド(訪日外国人)需要の減少、在宅勤務増や外出自粛などの影響を大きく受けていた。

  19年3月期から最終損益の赤字が続き、この間に衛星工場の集約化や生産アイテムの見直し、希望退職募集など様々な事業再構築策を進めてきたが、「収益構造を抜本的に見直すためには、もう一段踏み込んだ施策が不可欠」と判断、生産中止を決めたものだ。ソックスを主に生産するレナウンインクスのいわき事業所(福島県いわき市)に関しては、シナジー効果を見極めながら検討していく。

 コスト競争力のある中国工場に生産を移管していくことになるが、煙台厚木に関しては、工場移転に伴う措置として、新会社となる煙台阿姿誼靴下を既に設立(新会社が煙台厚木を吸収合併)している。25年3月期以降に煙台阿姿誼の新工場が操業する予定であり、グループ全体の生産体制は次期の中期経営計画で固める方針だ。

 アツギ東北は、青森県むつ市にむつ事業所、岩手県盛岡市に盛岡工場を持つ。21年3月期の売上高は29億1300万円、営業損失7億8600万円。特にむつ事業所は、1966年に工場を設立(当時はアツギむつナイロン)して以降、アツギのストッキングの国内中核工場として大きな役割を果たしてきた。



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